NBA伝説の名選手:ケビン・ガーネット 稀代のビッグオールラウンダーが貫いた激しい闘争心と献身的なプレー (3ページ目)
【"動けるビッグマン"が実践した一貫性の矜持】
211㎝・109㎏の高さと大きさに加え、ガードのようなクイックネスも兼備したガーネットは、レギュラーシーズン通算1462試合でキャリア平均17.8得点、10.0リバウンド、3.7アシスト、1.3スティール、1.4ブロックを記録。
他選手とは一線を画すほどの激しい闘争心、時に威圧感のある咆哮やトラッシュトークで相手へ強烈なプレッシャーを与え、研ぎ澄まされた肉体はまるで鋭利な刃物、彫刻のような芸術品となり、コート上で存在感を発揮した。
スムースなドライブからフィニッシュ、クイックかつ激しいダンクで相手を蹴散らすだけでなく、カバーディフェンスや堅実なリバウンド、容赦なくボールを弾き飛ばすブロックショットでも魅せてきた。そして、ガーネットはジャンプショットに磨きをかけてロングレンジからも決めていき、重要な場面でもビッグショットを成功させ所属チームを救ってきた。
「一生懸命プレーしてきた。情熱を持ってプレーしてきたんだ」と自負するガーネットは、キャリア終盤こそ平均1ケタ得点が続いたものの、ディフェンス面やリーダーシップなど数字に残らない部分でも真価を発揮し、重宝されてきた。
イニシャルからKG(Kevin Garnett)、その衝撃的なプレーでアリーナに多くの集客をもたらしたことから"ザ・ビッグチケット"の愛称で親しまれたガーネットは、自身のキャリアで誇れる点を、こう口にしていた。
「一貫性こそ、俺がずっと取り組んできた大切なことなんだ。(トップから)転げ落ちるなんて嫌だったから、安定して活躍を続けていくことにプライドを持って取り組んだ。毎晩ハードにやり遂げるのはものすごく難しいことだけど、やり続ける方法を見出したんだ」
背番号5がセルティックスの永久欠番になったガーネットは、レギュラーシーズン通算ディフェンシブ・リバウンド数1万1453本でNBA歴代トップ(オフェンシブと別々に記録されるようになった1973-74シーズン以降)を誇るほか、数多くの部門でウルブズの球団最多記録を保持している。
今では当然のようにNBAで活躍している"動けるビッグマン"のパイオニアとなった男は、ミネソタとボストンへ入団後にその球団のカルチャーを変え、常勝チームへ引き上げてきた。ガーネットがNBAで残してきた激しい闘争心や献身的なプレー、勝利後の雄叫びといったハイライトシーンの数々は、SNSを通して今後もずっと世界中へ拡散され、人々の記憶へと刻み込まれていくことだろう。
【Profile】ケビン・ガーネット(Kevin Garnett)/1976年5月19日生まれ、アメリカ・サウスカロライナ州出身。1995年NBAドラフト1巡目5位指名
●NBA所属歴:ミネソタ・ティンバーウルブズ(1995-96〜2006-07)―ボストン・セルティックス(2007-08〜12-13)―ブルックリン・ネッツ(2013-14〜14-15途)―ミネソタ・ティンバーウルブズ(2014-15途〜2015-16)
●NBA王座:1回(2008)/シーズンMVP1回(2004)/最優秀守備選手賞1回(2008)/オールNBAファーストチーム4回(2000、2003、2004、2008)/オールスターMVP1回(2003)
●主なスタッツリーダー:リバウンド王4回(2004〜2007)
●五輪代表歴:2000年シドニー五輪(優勝)
*所属歴以外のシーズン表記は後年(1979-80=1980)
著者プロフィール
秋山裕之 (あきやま・ひろゆき)
フリーランスライター。東京都出身。NBA好きが高じて飲食業界から出版業界へ転職。その後バスケットボール雑誌の編集を経てフリーランスに転身し、現在は主にNBAのライターとして『バスケットボールキング』、『THE DIGEST』、『ダンクシュート』、『月刊バスケットボール』などへ寄稿している。
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