NBA伝説の名選手:ドウェイン・ウェイド 「閃光の如く頂点へ駆け上がったヒートの象徴」 (3ページ目)

  • 秋山裕之●文 text by Akiyama Hiroyuki

【さまざま役割をこなし偉大な選手に】

 ウェイドという選手は、ビッグマンが相手でも当たり負けしない強靭なフィジカルと超人的なクイックネスを兼備したドライブで相手守備陣を切り裂き、爆発的な跳躍力を駆使して豪快なダンクを連発するイメージが強いが、幅広いプレーが持ち味でもあった。

 キャリアを重ねるごとに磨き上げたジャンパー(シュート)や軽快なユーロステップなどで加点したほか、アグレッシブな姿勢を貫いて獲得してきたフリースローで点を繋ぎ、勝敗を左右する重要なショットも数多く決めてきた。

 そして、忘れてはならないのがブロックショット。上背こそなかったものの、絶妙なタイミングで跳び上がり、相手のショットを何度も仕留めてきたウェイドは、レギュラーシーズンとプレーオフを合わせて1060本ものブロックショットをマーク。ジョーダンの計1051本を抜き、ガードポジションの選手としてのNBA歴代最多ブロック記録を樹立した。

 NBAでスーパースターとなってリーグを席巻しつつ、その後は得点源やスターター、シックスマン、メンターなど役割を変えながらも成功を収めてきたウェイドは、キャリアをこう総括している。

「バスケットボールキャリアで、僕は実にさまざまな役割をこなしてきた。だからこそ、自分は歴代最高の選手のひとりなんだと見ている。いろんな形で偉大な存在になれるんだと示してきた。僕のゲームは変わり、進化を続けてきた」

 現役引退後も、ウェイドはビジネスマンとして活躍中。2021年にはユタ・ジャズのオーナーシップグループに加わり、現在はポッドキャスト番組もこなし、今夏のパリオリンピックではアメリカ代表のコメンテーターとして『NBC Sports』のチームに参加していた。

 ヒートは今年10月27日にホームアリーナのカセヤ・センターの前で、"球団の象徴"ウェイドの銅像をお披露目する。引退から5年が経過しようと、ウェイドのレガシー(ストーリー)はこれからも続いていく。

【Profile】ドウェイン・ウェイド(Dwyane Wade)/1982年1月17日生まれ、アメリカ・イリノイ州出身。2003年NBAドラフト1巡目5位指名
●NBA所属歴:マイアミ・ヒート(2003-04〜2015-16)―シカゴ・ブルズ(2016-17)―クリーブランド・キャバリアーズ(2017-18)―マイアミ・ヒート(2017-18途〜2018-19)
●NBA王座3回(2006、12、13)/ファイナルMVP1回(2006)/オールNBAファーストチーム2回(2009、10)/オールスターMVP1回(2010)
●五輪代表歴:2004年アテネ五輪(3位)、2008年北京五輪(優勝)

*所属歴以外のシーズン表記は後年(1979-80=1980)

著者プロフィール

  • 秋山裕之

    秋山裕之 (あきやま・ひろゆき)

    フリーランスライター。東京都出身。NBA好きが高じて飲食業界から出版業界へ転職。その後バスケットボール雑誌の編集を経てフリーランスに転身し、現在は主にNBAのライターとして『バスケットボールキング』、『THE DIGEST』、『ダンクシュート』、『月刊バスケットボール』などへ寄稿している。

3 / 3

関連記事

キーワード

このページのトップに戻る