NBA伝説の名選手:ドウェイン・ウェイド 「閃光の如く頂点へ駆け上がったヒートの象徴」 (2ページ目)

  • 秋山裕之●文 text by Akiyama Hiroyuki

【シャックとのコンビで自身初の優勝】

 ウェイドはカンファレンス準決勝敗退で1年目を終えたのだが、2004年夏にヒートが大型トレードを断行。当時リーグ最強センターのシャキール・オニール(元レイカーズほか)を獲得し、ウェイドとの超強力デュオ誕生で優勝候補に躍り出る。

 2005年のプレーオフこそカンファレンス決勝最終第7戦までもつれる展開の末にデトロイト・ピストンズに3勝4敗で敗れたものの、ヒートは2大スターの周囲にベテラン陣を補強し、翌2006年には球団史上初のNBAファイナルまで駆け上がった。

 0勝2敗スタートとなったダラス・マーベリックスとの頂上決戦。シャックから"フラッシュ"というニックネームを授けられたウェイドは、第3戦からすべての試合で36得点以上を奪うなどして爆発。チームを4連勝へと導いて、初のリーグ制覇を達成した。シャックが発破をかけたこともあり、当時3年目のガードはシリーズ平均34.7得点、7.8リバウンド、2.7スティールでファイナルMVPにも輝いた。

「やっと負けることから解放された気がした。ファイナル4、高校でも、僕はずっと勝てずにいた。ついにそのハードルを越えることができたんだ。人生の新たな章が幕を開けたのさ」

 ウェイドはバスケットボールキャリアで初の頂点に立った。もっとも、ヒートは2連覇できず、徐々に覇権争いからも遠ざかっていた。その間、ウェイドはケガにも見舞われたが、2008年の北京オリンピックで完全復活し、"個人成績"だけで言えば全盛時を迎えていた。

 するとチームは2010年夏に、ドラフト同期でリーグ有数の実力者としての地位を確立していたレブロン・ジェームス(現レイカーズ)とクリス・ボッシュ(元トロント・ラプターズほか)を獲得し、ウェイドとの"スリーキングス"を形成。ヒートは2011年から2014年にかけて4年連続でファイナル進出を飾り、2012、2013年に球団史上初の2連覇を達成した。

 その後、ウェイドは故郷のブルズへ移籍して2016-17シーズンをプレーすると、翌シーズンはクリーブランド・キャバリアーズでレブロンと再び共闘。2018年2月にトレードで古巣ヒートへ帰還し、2019年4月に現役を引退した。

 3度の優勝に加え、オールスターに13度、オールNBAチームに8度、オールディフェンシブチームにも3度選ばれた男の背番号3は、ヒートの永久欠番となり、さらに彼は2021年にNBAの75周年記念チームに選出され、2023年には文句なしでバスケットボール殿堂入りと、SGとして歴代屈指の実績を残した。

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