2年目の渡邊雄太にみなぎる自信。適応能力こそが最大の長所だ (2ページ目)

  • 杉浦大介●文 text by Sugiura Daisuke
  • photo by Getty Images

 何より心強いのは、これまで渡邊の課題として指摘されてきたフィジカルが確実に改善されているように見えたことだ。相手ディフェンダーのチェックを受けても弾き飛ばされず、"アンド・ワン(ファウルされながらシュートも決める)"のシーンも何度か目にした。そうしてフィニッシュするか、フリースローがもらえるようになれば、得点は必然的に増えるはずだ。

「(フィジカル強化は)去年のシーズンを通してずっとやっていましたし、このオフに体重もけっこう増えました。まだまだ継続してやっていかなければいけないですけど、徐々に力はついているんじゃないかなと思います」

 カレッジ時代から渡邊のプレーを見てきた筆者にとって、この確実な成長ぶりは驚きではない。ジョージ・ワシントン大学時代も1年〜4年の間に7.4、8.4、12.2、16.3得点と毎年確実に平均得点をアップさせた。課題を自覚し、豊富な練習量でそれを克服する聡明さと適応能力こそが、渡邊の最大の長所。それゆえに、アメリカでは平均レベルの身体能力でもNBAまで辿り着けたのだ。

 もちろん、若手選手が集うサマーリーグで支配的なプレーで魅せたからといって、その実績がNBAでの活躍に直結するわけではない。渡邊がマイナーリーグでハイレベルの数字を残せることは昨季に証明済み。今後、NBAでも同じようにできると示していかなければいけない。

 フィジカルと同様に課題として挙げられる3ポイントシュートの精度向上は必須。サマーリーグでは3ポイント成功率が36.3%(4/11)とまずまずだったが、その数字を上のレベルでも保てるかどうかが最大のポイントになるだろう。

 ただ......まだ先は長いことを理解したうえで、それでも"2年目の渡邊雄太"には期待せずにはいられない。サマーリーグで数字を残したからというだけではない。灼熱のラスベガスでの、渡邊の姿勢、口調、プレーの端々から、「やっていける」という自信がみなぎっているように感じられたからだ。

「2ウェイ契約(の2年目)で、アピールしないといつ切られてもおかしくない。精神的負担でいうと(去年よりも)今のほうがかかっていると思います。ただ、それよりも自信のほうが勝っている。コート上でも自信を持ってしっかりとプレーできたらいいですね」

 あとはその"自信"を、NBAシーズン中に"確信"に変えるだけ。準備を整えて迎える2019-20シーズンは間違いなく勝負の年になる。渡邊のアメリカでのキャリアを左右するほどに重要な1年が、もうすぐ始まろうとしている。

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