同僚から総スカンを食らって放出されたNBAの悪童が、ついに覚醒! (3ページ目)

  • 水野光博●文 text by Mizuno Mitsuhiro
  • photo by AFLO

 シーズンが終わると、ラッセルは本格的な肉体改造に取り組んだ。さらに、尊敬するレブロン・ジェームズ(レイカーズ/SF)にもアドバイスを求めた。レブロンはラッセルにこう助言した。「毎試合、精神的な準備をしてゲームを支配しろ。そうすれば、チームメイトはついてくるだろう」。

 そうして迎えたネッツ2年目の今季、ついにラッセルは覚醒する。平均20.8得点・7.0アシストはどちらもキャリアハイで、シュート成功率43.1%や3ポイントシュート成功率36.0%も、プロ4年間で最も高い確率である。

 シーズンを通して好調を維持するラッセルは、ビクター・オラディポ(インディアナ・ペイサーズ/SG)の代わりでオールスターゲームに初出場を果たす。また、3月19日のキングス戦では第4クォーターだけで27得点(計44得点)を挙げ、28点差をひっくり返す大試合の立役者にもなった。

 現在、ラッセルが牽引するネッツはイースタン7位で、4年ぶりとなるプレーオフ進出の当落線上にいる。しかし、試合の大事な局面になればなるほど、プレーの質が高まるのが今のラッセルだ。

"Ice in my veins(俺の血管には氷が流れている)"

 クラッチシュートを決めたあと、ラッセルは「Ice in my veins」と叫びながら、前腕を指差すシュートセレブレーションを披露する。これは、父親から言われた「感情を出さず、血管に氷が流れているように冷静にプレーしろ」というアドバイスが源流だ。

 残りのレギュラーシーズン、そしてプレーオフと、クラッチシュートを決めたラッセルのシュートセレブレーションを目撃するシーンは、さらに増えるはずだ。

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