熾烈なサバイバル。渡邊雄太が実感しているGリーグとNBAの「格差」 (3ページ目)

  • 杉浦大介●文・撮影 text & photo by Sugiura Daisuke

 開幕戦で敗れたリオグランデバレー・バイパーズとの再戦(11月9日)では、39分間コートに立ち、25得点、8リバウンド、2アシスト、2スティール、1ブロック。11月11日のオースティン・スパーズ戦でも、11得点、6リバウンド、2スティール。どちらのゲームでも動きに無駄がなく、上質なオールラウンドプレーで2連勝に貢献した。

「最初の2試合は悪かったですが、何が悪かったかは自分の中で明確でした。だからそこで自信を失うことはなかったです。修正すればこうやって結果がちゃんと出るので、すごく自信につながっています」

 本人の言葉どおり、メンフィスでの2試合では渡邊が目指していたものが周囲にもはっきりと伝わってきた。「積極的に攻めるのは大事だが、シュートは無理に打つべきではない」。このリーグの他の選手たちのスタイルがどうあれ、総合力とチームプレーが信条の渡邊は、普段どおりの姿勢を保てばいい。そう初心に帰ったことが、この2日間で合計13/19というFGの精度の高さにもつながったのだろう。

「得点を取ってアピールするのも大事だと思いますし、周りで見ている人たちは得点が少ないと『これじゃNBAには呼んでもらえないだろう』となるんでしょうね。ただ、自分の強みはそこじゃない。NBAに上がった時、『点を取ってこい』と自分が言われることは絶対にない。自分がロールプレーヤー(チームの中で特定の役割をこなす選手)としてできることを極めていったら、コールアップしてもらえるようになる。そういう部分で自分も勘違いしていましたが、この2試合で修正できたかなと思っています」

 25得点を挙げた11月9日のゲームはもちろんすばらしかったが、渡邊が話したとおりの"らしさ"がはっきりと見えたのは11月11日のゲームだった。ディフェンス面ではガード選手とのマッチアップからスタートし、パワーフォワード、さらにはセンターの選手もガードした。去年のドラフト2巡目指名選手ジャロン・ブロッサムゲームとも対峙し、綺麗に封じ込めて守備力をアピールしている。

「(ブロッサムゲームは)すばらしいプレーヤーです。ただ、彼くらいの選手はNBAでは当たり前。あれくらいはできて当たり前の選手がNBAにはいるので、そこで自分がひけをとっているようでは次のレベルにはいけないと思っています。そういった意味で、今日のマッチアップはすごくいい経験になりました」 

 試合後の渡邊のそんな言葉からは、すでにNBAを経験し、今後もその舞台で生き残っていくという自信が感じられた。

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