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「闘う集団」川崎か、「あきらめない」栃木か。
Bリーグ初代王者は? (5ページ目)

  • 水野光博●取材・文 text by Mizuno Mitsuhiro
  • photo by (C)B.LEAGUE

 そしてやはり栃木を語るとき、欠かせないのが田臥勇太の存在だ。栃木ファンなら知っているだろう。ノールックパスなどの派手なプレーに注目が集まりがちだが、ゲーム中、誰よりも貪欲にルーズボールに飛び込んでいるのは、他の誰でもない田臥だ。「ナンバーワンPGは誰か?」という問いには、田臥を含む何人かの選手の名前が挙がる。しかし、「バスケを一番好きなのは誰か?」という問いならば、きっと正解は田臥勇太で決まりだ。

 その田臥の想いがチームメイトを鼓舞するのだろう。遠藤祐亮(PG/SG)や古川孝敏(SG/SF)といったチームのスター選手も、ゲーム中にルーズボールへの執着心が薄らぐことは一瞬たりともない。

 現在36歳の田臥は、能代工業時代から数えれば20年以上もの間、日本バスケットボール界の顔で居続けていることになる。Bリーグ初代王者としてその名が刻まれるのに、これほどふさわしいプレーヤー、チームはないだろう。

 繰り返すがどちらのチームも、Bリーグ初代王者となるべき資格も実力も物語も持っている。ここで小話をひとつ――。

 1994年、NBAファイナル。パトリック・ユーイング率いるニューヨーク・ニックスは、アキーム・オラジュワン擁するヒューストン・ロケッツと対戦して敗れる。プレーオフに入り絶好調でチームの危機を幾度も救ったジョン・スタークスだったが、ファイナルではまるで別人のように絶不調に陥り、敗戦の槍玉に挙げられた。

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