ケビン・ガーネットはなぜ「ひっそりと引退表明」せざるを得なかったのか (3ページ目)

  • 宮地陽子●取材・文 text by Miyaji Yoko
  • photo by Getty Images

 サンダースは、ガーネットに現役引退するまでチームの若手を助け、チームを率いるリーダーとしての役割を期待し、同時に将来的には、ともにティンバーウルブズを買収するグループを作り、チームの経営陣に入るという構想を提案していた。だから、このころからガーネットも、ティンバーウルブズのオーナーになるという目標を口にするようになっていた。

 去年、ガーネットは言っていた。

「どこかのタイミングで、オーナーとしての仕事を理解して、(グループに)加わりたいと思っている。そして、この街に優勝をもたらしたい。それがウルフ(ティンバーウルブズの一員)となって以来、ずっと自分の目標だった」と。

 しかし、昨シーズンの開幕直前、それを一転させる悲しい出来事があった。サンダースがホジキン・リンパ腫によって亡くなったのだ。同時に、オーナー構想も立ち消えとなってしまった。

 今年の夏にティンバーウルブズは、サンダースが集めたスタッフの大半と契約を打ち切り、新たに運営責任者兼ヘッドコーチとしてトム・シボドーと契約した。居場所がなくなったガーネットは、引退することを選んだ。周りからは、ガーネットにあと1年現役を続けることを勧める声もあった。セルティックスでともに優勝を果たしたドク・リバース(現ロサンゼルス・クリッパーズ・ヘッドコーチ)は、「ケビンがプレーしたいなら受け入れる」と明言してもいた。しかし、ガーネットは引退を選んだ。

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