【NBA】ウェストブルック欠場をプラスにするサンダーの強さ (2ページ目)

  • 佐古賢一●解説 analysis by Sako Kenichi 是枝右恭●写真 photo by Koreeda Ukyo, Getty Images

ウェストブルックの離脱は悪い面ばかりではないと語る佐古氏ウェストブルックの離脱は悪い面ばかりではないと語る佐古氏 一方、ウェストブルックの欠場によってスタメンに起用されたレジー・ジャクソン(PG)も、徐々に自分のカラーを出せるようになってきました。ジャクソンはプロ3年目の若手で、過去2年間の出場時間は11~14分程度でした。しかし、ウェストブルックの離脱によって長時間コートに立つことで、本来持っている得点力を発揮しつつあるのです。もちろん、まだミスも多く、ウェストブルックの穴を埋めるまでには至っていません。ただ、ジャクソンの攻撃力には伸びしろを感じます。

 ウェストブルックとジャクソン――。ふたりともポイントガードというポジションですが、タイプはまったく違います。ウェストブルックはゴールに向かって最短距離で切り込んでいきますが、ジャクソンは人と人との間をすり抜けてドリブルしていくタイプ。どちらも自らフィニッシュするのを得意としていますが、ポイントガードとして両者は別物なんです。

 今のNBAは、ポイントガードにいろんな役割が求められています。昔のように、ボールを運んでパスをすればいいわけではありません。タイプの異なるジャクソンが成長すれば、ウェストブルックの復帰後、両者を同時に「ツーガード」としてコートに立たすかもしれません。そうなれば、サンダーの攻撃はバリエーションが増えるので、さらに面白くなりそうです。

 また最近、パワーフォワードのセルジ・イバカ(PF)が驚くような3ポイントシュートを決めるようになりました。以前は「守備の人」というイメージでしたが、攻撃時にデュラントがインサイドに入ると、イバカがアウトサイドに開いて3ポイントシュートを狙うのです。そして、その確率が意外といい(笑)。しかも、ゲームを決めるような大事な第4クォーターで、イバカが3ポイントシュートを炸裂させるのです。これが何本も入りだすと、相手はどう対応していいのか分からなくなります。インサイドに絶対的なゴールゲッターのデュラントが待ち受けていますからね。新たに手に入れた「イバカの3ポイント」というチョイスは、相手にとって実にやっかいでしょう。

 このように、ウェストブルックの欠場は確かに痛手ですが、チームメイトがそれぞれ成長したことで、さらに選手層が増したように感じます。昨シーズンは、ケンドリック・パーキンス(C)、セルジ・イバカ(PF)、ケビン・デュラント(SF)、タボ・セフォローシャ(SG)、ラッセル・ウェストブルック(PG)の5人でスターターを固定していました。逆にいうと、この5人の出場時間がすごく長かったのです。しかし今は、レジー・ジャクソン(PG)や、2年目のジェレミー・ラム(SF)の台頭により、非常にバランスが良くなったと思います。

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