突破できるか?今そこにある、バスケットボール新リーグ「NBL」の課題 (2ページ目)

  • 木村元彦●取材・文 text by Kimura Yukihiko 山本雷太●撮影 photo by Yamamoto Raita

――その辺りは言葉の定義の問題になると思うのですが、統合ではなくて統一というのは?

山谷「統合というのは、ふたつあるものをひとつの形にくっつけるものですけれども、統一というのはふたつあるものをあるひとつの概念の中で統一化していこうということです。そういう意味では、bjリーグ、JBL=NBLがそれぞれどういうリーグかということを定義付けすれば、それはひとつの傘下に収まるであろうと」

――そのトップが今回9月に開幕するNBLということであると。

山谷「そうですね。NBLという新しい箱は、JBLもあればbjもあれば実連(実業団)やクラブ連や新規設立チームもあるという中で、同じ考え方を目指すチームがここに集まってきて欲しいということが元々の趣旨でした」

――そここそが、多くの人が知りたいところで、トップリーグ構想ではありましたが、結果的には統合ではなく、bjリーグからの参入は残念ながら、千葉ジェッツだけでした。FIBAは一国一競技団体という言い方をしていますね。

山谷「一国一競技団体というのは、リーグではなくて競技統括団体だと思うので、日本には競技統括団体は『日本バスケットボール協会』のみですから矛盾はないと思うのです。(本連載にもあった)かつてのテコンドーのように、競技統括団体がふたつできるというのは当然あってはならない事態ですが。

 あくまでもリーグというものは別問題であって、複数あるとか、独立したリーグもあればこういったリーグもあるというのは、それぞれの考えの中でやっていくということだと思うんです。私は直接FIBAに確認しましたが、彼らが求めていることはリーグの統合ではなく、それぞれのリーグの位置づけの整理なんです」

――では現在のbjの位置付けというのは、どういう形になるんでしょうか。

山谷「経緯をたどれば、bjリーグはJBLが『プロ化する』と言い続けていながらしなかった中で、しびれを切らして、自分たちで独立してプロリーグをつくろうとしてできたリーグです。ですので、bjリーグさんというのは、これは私の見方かもしれませんけれども、トップリーグは目指さないという前提で、プロとしてエンターテインメント性を重視して、外国人選手を、今は減らしていますけど、増やして、魅せるバスケットとして面白いものをつくっていこうという考え方だと思うんです。これは見習うべきこともあります」

――そのプロ化の遅れについてですが、山谷さんが今ご自身で定義されている「プロリーグ」というのは?

山谷「私はリーグに対してはあまりプロという概念を持っていないですね。世界を見てもリーグであえてプロと謳っているのは日本くらいだと思います。プロというのは、あくまでも選手の契約形態を示す言葉です。プロ契約というのは、自分が競技者としての対価として給料をもらっている人であり、アマチュアというのはそうではなくて、競技者としての対価ではなく、社員という業務をする対価としてお金をもらっていたり、自らがお金を拠出してプレイしている選手のことです。プロアマという分類は選手に対してで、リーグに関しては、そういう概念はあまり適さないと思っています」

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