【NBA】MVPはレブロン。でも「今季イチオシ」はこの男! (2ページ目)

  • 佐古賢一●解説 analysis by Sako Kenichi
  • 甲斐啓二郎●写真 photo by Kai Keijiro, Getty Images

※チーム順位は各カンファンスでの順位※チーム順位は各カンファンスでの順位 しかもレブロンのすごい点は、スモールフォワードの選手にもかかわらず、ポイントガードとしての役割をしっかりと担っているところです。僕はガード出身なので、そういう視点で試合を見るのですが、レブロンをよく観察してみると、ポイントガードのマリオ・チャルマーズやシューティングガードのドウェイン・ウェイドの「ガード像」とは、まったく違うのです。レブロンはガード陣を影で支える「セカンドガード」になることで、ゲームを完全に支配しています。その結果が「27連勝」という偉業につながったのは間違いないでしょう。今、レブロンはかつてない斬新なスタイルを、NBAで確立しようとしているのではないでしょうか。

 1試合で30得点をマークし、10アシストを決め、なおかつ10本のリバウンドを奪う――。こんな選手は、今まで他にいません。全盛期のジェイソン・キッドも同じような領域にいたと思いますが、レブロンはセンター以外の4つのポジションをすべてこなしているので、さらに上のレベルだと思います。むしろ比較するなら、マジック・ジョンソンのレベルではないでしょうか。レブロンはついに、「究極のオールランドプレイヤー」に進化したと思います。

 そんなレブロンを擁する今シーズンのヒートは、かつて黄金時代を築いたシカゴ・ブルズと比較したくなるほどの存在感があります。今シーズンを振り返って、「最もすごいバスケットをしている」のは、間違いなくヒートでしょう。レブロンが満場一致でMVPに選ばれても不思議ではありません。ただ今シーズン、僕が個人的に「面白い!」と感じたのは、実はヒートやレブロンのゲームではないのです。もちろん、イースタン・カンファレンスで首位を独走したヒートのすごさは認めています。しかし、実際に試合を見ていて「楽しいな」と思ったのは、ウェスタン・カンファレンス3位のデンバー・ナゲッツなんです。

 ヒートの27連勝、そしてニューヨーク・ニックスの13連勝と、シーズン後半のイースタン・カンファレンスは「連勝」の話題で大いに盛り上がりました。すると、それに負けじとウェスタン・カンファレンスで連勝街道を突き進んだのが、ナゲッツです。なんと1月中旬からホームで1敗もせず、そのままポストシーズンに突入。ゴールデンステート・ウォリアーズとのプレイオフ1回戦・第2戦でついに黒星を喫しましたが、ホームで「24連勝」という大記録を作りました。本拠地ペプシセンターで3ヵ月以上も負けない試合ぶりを見ていて、「ナゲッツは面白いバスケットをするなぁ」と感じましたね。

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