【NBA】オールスターで喝采を受けた「究極のダークホース」 (2ページ目)

  • 宮地陽子●文 text by Miyaji Yoko
  • photo by Getty Images

 さらに3シーズン目の今季、チームのエースであるダニー・グレンジャーがひざの故障で開幕から欠場した。それによりジョージは、いきなりチームの中心となって率いることを期待され、また活躍を求められるようになった。かつては身の丈にあった環境を選び、ベテラン選手たちに対して遠慮がちだったジョージ。しかし、タイミングのいい時期に刺激を受け、上のレベルのプレイを要求されるようになったことで、急速な成長を見せた。そしてあっという間に、攻守ともにエースとして認められる存在にまでなったのだ。

 そして迎えたオールスターゲーム。初出場にもかかわらず、大舞台で見せたプレイが、ジョージのメンタリティの変化を表していた。選ばれたことだけに満足するのではなく、周りへの遠慮を捨て、躊躇(ちゅうちょ)なくシュートを打ち、アグレッシブなプレイを見せたのである。その結果、フィールドゴール13本中7本を決め、17得点・4アシスト・3リバウンドを記録。ジョージは己の能力をいかんなく発揮し、観客を大いに沸かせた。

 ジョージは試合後、「アグレッシブにプレイしないと、(自分の)存在が消えてしまうと分かっていた」と、積極的に攻めた理由を語った。そして、「初めてのオールスターで、これだけのことができた自分に誇りを持てる」とも。

「最初は、NBAに入ることが夢だった。そしてその次は、オールスターが夢だった。これらを実現したことで、さらに上の目標に手を伸ばしたくなった。次の目標、それは優勝だ」

 低い評価でのプロ入りから、わずか3シーズンでオールスターの仲間入りを果たした究極のダークホース――。ポール・ジョージが次なる目標に到達するのは、何シーズン先だろうか。


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