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【F1】角田裕毅「決定的」なミスに激怒 5つもポジションを落としてしまった最大の敗因は... (2ページ目)

  • 米家峰起●取材・文 text by Yoneya Mineoki

【運が悪かったガスリーの後方】

 角田はこう振り返る。

「ドライタイヤへの交換をリクエストしたんですけど、チームからの返答が遅すぎて、僕はもうピットエントリーを通りすぎてしまっていました。スパは1周が長いサーキットですし、ああいうコンディションで1周の遅れはものすごく大きい。

 あれが決定的でした。あそこでポジションを5つも落としてしまって、その後はずっとアルピーヌ(ピエール・ガスリー)の後ろにスタックするだけのレースになってしまいました」

 さらに運が悪かったのは、ガスリーは極端にリアウイングを削ったロードラッグ仕様のセットアップであり、ストレートスピードが圧倒的に伸びていたことだ。

 ペースは明らかに角田のほうが速かったが、ケメルストレートでDRS(※)を使っても仕掛けるチャンスさえ生み出せないほどに、DRSの使えないターン1からオールージュまでに大きなギャップを広げられてしまう。あとは44周目まで、ただただガスリーのリアエンドを眺め続けるだけのレースになってしまった。

※DRS=Drag Reduction Systemの略。追い抜きをしやすくなるドラッグ削減システム/ダウンフォース抑制システム。

 戦略どおりに12周目にピットインしていれば、アレクサンダー・アルボン(ウイリアムズ)やハミルトンらと6位争いを繰り広げ、少なくともポイント獲得は果たせていたはずのレースだった。

 だが、フラストレーションを爆発させているだけではダメだ。レースエンジニアひとりの責任でもない。

 12周目のピットストップは、ピットクルーに指示が出されて準備も整っていたにもかかわらず、最終シケインに飛び込むまでチームから角田に指示がなかったこと。角田からの「BOX」の声に対し、エンジニアがすぐに答えられない状況だったこと。

 ここからわかるのは、レースエンジニアが12周目にピットインすることを把握していなかった可能性と、チーム内のストラテジー部門からエンジニアへの指示伝達や情報共有が徹底できていなかった可能性だ。

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