【F1】角田裕毅に襲いかかった予想外のアクシデント フェルスタッペンでさえ「ドライブできる状態じゃない」 (2ページ目)
【角田自身が後退したのではない】
フェルスタッペンでさえ、Q1、Q2ともに「マシンバランスがバラバラで、ドライブできる状態じゃない」と訴えていた。ただ、そんなマシン状態でもフェルスタッペンはRB21を知り尽くしているからこそ、引き出せる限界値は高い。
「マックスはそういうクルマをどう扱えばいいか、よく知っている。なので、あのようなサプライズな状況でも、なんとかうまくアタックラップのなかで対処できるんです。
でも僕は、あれだけ1回目と2回目でマシンのフィーリングが違った状況に直面してしまうと、マシンに対する知識が十分でなくてフルにアジャストすることができないので、マシンのポテンシャルを最大限に引き出してアタックラップをまとめることができないんです。予選のたびにこういうことが起きてしまうのは、フラストレーションを感じます」
最終的にフェルスタッペンの0.263秒差とはいえ、レッドブル自体がポジションを下げたこと、そして上位3チーム以外が0.3秒内にひしめく超接戦という要素も絡み合って、角田は18位に落ちてしまった。
フェルスタッペンとの差がいつも以上に小さいことを考えれば、角田自身が後退したのではなく、レッドブル全体が後退したがゆえの結果であることは明らかだ。だからチーム関係者たちも角田を非難するのではなく、チーム全体のペース不足へと視線を向けた。
ひとかたならぬ決意と期待を持って臨んだオーストリアGPの予選だった。だが、目指す頂に向けて山を登り始めると、また新たな山が現われて、再び行く手を阻む──。
角田自身のみならず、チームとしてまだまだ成長しなければならない要素が山積みだということを、あらためて思い知らされた予選だった。
著者プロフィール
米家峰起 (よねや・みねおき)
F1解説者。 1981年1月31日生まれ、兵庫県出身。F1雑誌の編集者からフリーランスとなり2009年にF1全戦取材を開始、F1取材歴14年。各種媒体に執筆、フジテレビNEXTやYouTube『F1LIFE channel』での解説を務める。
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