角田裕毅のラスベガス攻略法 ナイトセッションや特殊なレイアウトにどう対応する? (2ページ目)

  • 米家峰起●取材・文 text by Yoneya Mineoki

【日本とラスベガスとはイレギュラーな時差17時間】

 たしかに距離にすれば、全開区間は1周の80パーセント近くに達するほど長い。だが、時間で言えば約1分30秒のラップタイムのうち、全開となるのは66パーセントほどでしかなく、これは全22戦のうち9番目でしかない。

 というのも、F1が広大な土地を購入して常設のメインストレートとしたターン1〜2、巨大球体型アリーナとして一躍有名になったMSGスフィアの周りを走るターン7〜9、ラスベガスストリップの入口であるターン12、実質的な最終コーナーであるターン14〜15など、低速であるがゆえにそこで過ごす時間が長く、スロットルを踏みっぱなしで走る時間はそれほど長くはないからだ。これは1.2kmのストレートを誇るメキシコシティが、全開率ではモナコに次ぐ2番目に低いというのと同じことだ。

 もちろん決勝でのバトルという点では最高速は必要だが、ストレート走行のパフォーマンスだけで勝負が決まるようなシンプルなサーキットではない。

「ドライビング面で重要になるのはブレーキングと低速コーナーの走り方ですが、コーナーへの進入で攻めすぎてしまうとその後に長いストレートが続くコーナーが多いので、(ストレートへの)立ち上がりを意識してアプローチすることが重要かなと思います。

 スフィアのエリア(ターン7〜9)はブラインドコーナーでブレーキングポイントを掴むためのリファレンスがありませんし、横Gがかかりながらブレーキングすることになるので、トリッキーであることは間違いないでしょうね。でも低速コーナーなので、僕たちとしてはラップタイムを稼げるエリアでもありますし、すごく重要だと思っています」

 現地は木曜の夜20時30分にセッションが始まり、FP2と予選は24時から。決勝は土曜の22時に行なわれ、「眠らない街ベガス」に合わせた変則スケジュールとなっている。

 日本とは時差が17時間もあるため、日本では金曜から日曜の昼間にセッションを見ることになる。だが現地では、このイレギュラーな時間軸にうまく対応することが必要になる。

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