角田裕毅、今季最大のアップグレードで下位脱出に期待「0.2秒以上は速くなっている」 (2ページ目)

  • 米家峰起●取材・文 text by Yoneya Mineoki
  • photo by BOOZY, Yoneya Mineoki

【アルファタウリは市街地コースで好走している】

 シミュレーター上では、ラップタイムにして少なくとも0.2秒、もしかすると0.3秒ものゲインになるという。これは大接戦の今のF1において、非常に大きな意味を持つ。

 このゲインが現実になれば、いつも10チーム中8番目から10番目のクルマでしかなかったアルファタウリが、下位集団争いから抜け出すことができる。

「シミュレーター上では0.3秒くらい、少なく見積もっても0.2秒以上は速くなっていると思います。これはけっこう大きいです。ハースやアルファロメオとの争いから抜け出せればと思いますし、できればウイリアムズやアルピーヌくらいまでいければ......」

シンガポール入りした角田裕毅は終始笑顔シンガポール入りした角田裕毅は終始笑顔この記事に関連する写真を見る ブレーキングからターンインで攻めることができれば、ブレーキングに自信を持つ角田の腕がさらに生きる。マシンの限界を攻める予選でのパフォーマンス向上につながり、そうすればもっと上位で戦うことができるようになる。アルファタウリにとってはゲームチェンジャーになり得る大きなアップデートだ。

 シンガポールGPの舞台「マリーナベイ市街地サーキット」は低速や中低速の90度コーナーが多く、バンピーな路面でメカニカル性能が求められる。

 そういう意味で、アゼルバイジャンGPやモナコGPといった市街地でQ3に進出してきたアルファタウリのマシンにとっては好走が期待できるサーキットだ。そこに加えて今回のアップデートが投入されるのだから、期待が高まらないわけがない。

 実際に第12戦ハンガリーGPでフロアとフロントウイングをアップデートして以来、マシンは改善の兆しが見え始めた。夏休み明けの2連戦ではQ3が狙える位置につけていたのだから、なおさらだ。

 もちろん、壁に囲まれてリスクがそこら中にあるサーキットだけに、油断は禁物だ。昨年は初挑戦のレースでブレーキングポイントを誤ってクラッシュを喫しているだけに、2回目のシンガポールGPには「より慎重なアプローチを取る」と角田自身も語っている。

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