ホンダの名車「NSX」は2023年で見納め...有終の美を飾って「シビック」にスーパーGTタイトルを継承できるか (3ページ目)

  • 吉田知弘●取材・文 text by Yoshita Tomohiro
  • 吉田成信●撮影 photo by Yoshida Shigenobu

【非公式ながらコースレコード】

 NSXとともに歩んできた山本は、2018年にはジェンソン・バトンと、FR化された2020年には牧野任祐と組んでGT500クラスのチャンピオンに輝いている。

「このクルマに対してはどのドライバーよりも思い入れはあるし、イチから携わっているという責任と自負もあります。今のタイプS仕様で走るのも今年が最後。ここでチャンピオンを獲って、来年のシビック・タイプRにつなぎたいです」

 全日本スーパーフォーミュラ選手権で2021年と2022年に連続チャンピオンに輝き、国内現役ドライバーでは"最強"との呼び声も高い野尻智紀。2015年からGT500クラスに参戦している野尻を1人前のドライバーに育てたのも、このNSX-GTというクルマだ。

「(NSX-GTの思い出は)僕のなかでは『うまく走らせてあげることができなかったな』『あの時はもっとやれたよな』という思いが強くて......『うまく走らせてあげられなくて、ごめんなさい』という気持ち。このクルマを通して、成長させてもらってきました。

 優勝も経験させてもらいましたが、どちらかと言うと失敗のイメージが95%くらい。でも、おかげさまで(NSX-GTでの経験が)スーパーフォーミュラでの走りにも活きています」

 ホンダ関係者のみならず、スーパーGTを応援するファンにとっても、NSX-GTにまつわる思い出はたくさんあるだろう。

 そんなホンダを代表するレーシングカーのラストイヤーとなる2023年だが、開幕前公式テストのパドックでは「NSX-GTが速い!」との話題が飛び交っている。

 例年2月ごろからGT500クラスに参戦する各メーカーはプライベートテストを行なうのだが、シーズン開幕2カ月前にしてホンダ勢は好タイムを連発。3月初旬に行なわれた鈴鹿サーキットでのテストでもARTA MUGEN NSX-GT(ナンバー8)の大湯が1分42秒630をマークし、非公式ながらコースレコードを1.5秒も上回った。

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