2022スーパーGTは日産vsホンダで閉幕。なぜトヨタはこんなにも弱くなってしまったのか (3ページ目)

  • 吉田知弘●取材・文 text by Yoshita Tomohiro
  • 吉田成信●撮影 photo by Yoshida Shigenobu

トヨタが王座陥落した理由

 2020年にデビューしたトヨタの参戦車両「GRスープラ GT500」は過去2年、全車がノーウェイトとなる開幕戦や最終戦ではライバルを圧倒する速さを見せていた。今年の最終戦も上位を脅かす存在になるかと思われていたが、予選では6台中5台が下位に沈む大苦戦。トヨタ陣営のパドックはどんよりとした空気が流れていた。

 2022年は日産、ホンダともに参戦車両を変更してシーズンに臨んだ。結果、序盤の2メーカーは新マシンの性能をフルに引き出せず、経験値の豊富なトヨタGRスープラが一歩リードしていた場面もあった。

 しかし、シーズン中盤から後半に突入すると、日産やホンダがマシンの熟成を進めたのに対し、トヨタは思ったほど性能を伸ばせなかった。その結果が最も露呈したのが、全車ノーウェイト勝負で争われる最終戦だったと言えるだろう。

 また、トヨタ勢は昨年から今年にかけてドライバー体制を大幅に変更し、20代前半の若手ドライバーを積極的に起用した。その結果、若手の勢いが存分に発揮されたレースもあったのだが、経験不足によって苦戦を強いられる場面もあったように感じられた。

 さまざまなシチュエーションに対処できる"経験"も、スーパーGTでは重要になってくる。今シーズンは日産やホンダと比べて、そこが足りないと感じる場面も多かった。ただ、経験は積んでいくことでしか克服できない部分でもあるため、来季以降の成長に期待したい。

 いずれにしても2022シーズンは、日産の「新型Z」が登場したことで、ここ数年の流れが大きく変わることとなった。来シーズンもこのまま日産が覇権を握るのか、2年連続して一歩及ばなかったホンダが王座を奪還するのか、それとも昨年王者のトヨタが意地の巻き返しを見せるのか。2023シーズンに向けての戦いは、すでに始まっている。

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