2022スーパーGTは日産vsホンダで閉幕。なぜトヨタはこんなにも弱くなってしまったのか (2ページ目)

  • 吉田知弘●取材・文 text by Yoshita Tomohiro
  • 吉田成信●撮影 photo by Yoshida Shigenobu

ホンダと日産の差とは?

 チーム総合力の向上は、結果を見ても明らかだ。トラブルでリタイアとなった第3戦・鈴鹿を除いて、12号車はすべてのレースで7位以内を獲得。一番の勝負所となった最終戦でも、これまで課題だった予選を克服して最終的に2位となり、悲願の王座獲得にこぎつけた。

その12号車を筆頭とする日産勢に最後まで食らいついたのが、昨年最終戦で王座を逃したホンダ勢だ。今年は「タイプS仕様」のNSX-GTに変更し、フロント部分をはじめ空力パーツの一部を新しくして参戦した。

 シーズン序盤はライバルに先行を許すレースが多く、「今年のホンダは苦しいか?」と思われていた。だが、徐々にポイントを積み重ねていき、第7戦・オートポリスではナンバー17のAstemo NSX-GT(塚越広大/松下信治)が今季初優勝すると、最終戦・もてぎではナンバー100のSTANLEY NSX-GT(山本尚貴/牧野任祐)がポール・トゥ・ウィン。シーズン終盤でのホンダ勢の快進撃は目覚しいものがあった。

 17号車は自力での逆転チャンピオンの可能性も残していたが、最終戦は苦戦を強いられて王座奪還ならず。あと一歩が足りなかった印象だが、ホンダ陣営のシーズンを振り返ると「勝てたはずのレース」「ポイントを獲れたはずのレース」も少なからずあったのは確か。細かな部分で生まれた日産との差が「決定打となった」ように感じられた。

 このように今シーズンは「日産vsホンダ」の王座争いで大いに盛り上がった。その一方、ここ数年安定した強さを誇ってきたトヨタが珍しく上位に顔を出せないシーズンでもあった。

 最終戦では、ナンバー14のENEOS X PRIME GR Supra(大嶋和也/山下健太)とナンバー37のKeePer TOM'S GR Supra(サッシャ・フェネストラズ/宮田莉朋)にわずかながらに逆転チャンピオンの可能性は残っていた。だが、両者とも予選で下位に沈んでしまったことが大きく響き、主役の座に返り咲くことはできなかった。

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