角田裕毅、8位で笑顔なしは成長の表れ。ボッタスを抑え、アロンソを抜き、内容で光った2年目の幕開け (2ページ目)

  • 米家峰起●取材・文 text by Yoneya Mineoki
  • photo by BOOZY

ぶっつけ本番での決勝スタート

 それに対して角田は、FP3でピットアウトを仕掛けたところでマシントラブルが発覚。ハイドローリックの油圧を失ってセッションを丸ごと失うことになってしまった。

 ぶっつけ本番で臨まなければならなくなった予選で、角田はQ1からソフトタイヤを3セット投入して戦ったが、思うような結果は得られなかった。

「まぁ、しょうがないなと思います。セットアップ面でなかなか思うようにまとめきれず、という感じでした。Q2進出はかなりタイトなバトルになるだろうなと思っていましたけど、FP3で走れなかったせいで、予選に向けて思いどおりのセットアップを仕上げられなかったことが大きかったです。ここまで下位になるとは思っていませんでしたけど、シーズンを通してもっとクルマの開発を進めていくしかないと思います」

 角田はフラストレーションを圧し殺すように言った。

 Q1でのガスリーとのタイム差は0.654秒。ぶっつけ本番であったことを考えれば決して悪くはないが、ここで怒りを爆発させて乱れてしまっていた昨年の角田とは違う。冷静にデータを見直し、マシンだけでなく自分のドライビングにも足りない部分があったことも見詰め直したという。

「まだ開幕戦なので(マシンに不慣れで)ああいうことが起きるのは仕方がないですし、それよりも僕自身がパフォーマンスを出しきれなかったことに対して『なぜなんだろう』っていう、フラストレーションというより悩んでいたというところはありました。でも、レースはレースで気持ちを切り替えて戦うことができました」

 決勝でのスタートは、F2時代に経験した18インチタイヤの蹴り出しやスタート直後のグリップ感覚を思い出しながら、見事に決めて16番グリッドから1周目で12位までポジションを上げた。

 タイヤのデグラデーション(性能低下)が大きく、ソフトタイヤを連投して攻めの戦略。アルファロメオのバルテリ・ボッタスを抑え込んだり、アルピーヌのフェルナンド・アロンソを抜いたりと、安定した走りを見せて入賞圏を争った。

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