ホンダF1、ラストシーズンの勝算。「隠し球」でメルセデスを乗り越えろ (3ページ目)

  • 米家峰起●取材・文 text by Yoneya Mineoki
  • 桜井淳雄●撮影 photo by Sakurai Atsuo(BOOZY.CO)

 この年間予算は、2021年1月1日から12月31日までの費用となる。つまり、2021シーズンを戦うコストだけでなく、2022年型マシンを設計・製造するためのコストも含まれるのだ。

 2021年のマシンが昨年型から約60%を踏襲しているのに対し、2022年はまったく新しいレギュレーションが導入されて完全に生まれ変わる。そのため、多くのチームは2021年型マシンの開発を早い段階で打ち切り、早々に2022年型マシンの開発に専念することを余儀なくされるだろう。

 本来は2020年が新規定への"移行の年"となるはずだった。だが、新型コロナウイルス感染拡大の影響で新規定導入が1年延期となり、移行シーズンがコストキャップ導入初年度と重なることになった。

 2021年型マシンの出来によって今シーズンに望みがないと判断したチームは、早々に開発を打ち切って年間予算を2022年型マシン開発に振り分けるだろう。新規定で"どんでん返し"が期待できるうえに、そこで築いたアドバンテージが長く続く2022年型マシンに予算を注いだほうがメリットが大きいからだ。

(6)角田裕毅以外のルーキーはどんなドライバー?

 今年は角田裕毅(つのだ・ゆうき/20歳)を含めて、3名のルーキーがF1デビューを果たす。だが、角田以外のふたりはハースという今季下位候補チームからのデビューだけに、期待値はそれほど高くない。

 ひとりは、昨年のFIA F2のチャンピオンであるミック・シューマッハ(21歳)。あの7度の世界王者に輝いたミハエル・シューマッハの長男だ。

 FIA F2のタイトルを獲得したのは参戦2年目。一発の速さが光るタイプではなく、安定感のある走りでポイントを重ねてチャンピオンに輝いた。

 ユーロF3でも参戦2年目でタイトルを獲得している。だが、本人曰く「必ずしも2年目をターゲットに据えているわけではない。時間をかけて徐々に学んでいくタイプというわけでもなく、FIA F2ではトラブルなどの不運がなければ初年度からもっとランキング上位につけていたはずだ」という。

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