マルケスの「技」を盗めたか。中上貴晶がMotoGP参戦3年目を振り返る (5ページ目)

  • 西村章●取材・文 text by Nishimura Akira
  • 竹内秀信●写真 photo by Takeuchi Hidenobu

ーー今年の中上選手は、総合ランキング10位でした。とはいえ、3位から中上選手までは非常に僅差で、中上選手はマシンスペック的に劣る19年仕様だったにもかかわらず、ホンダ勢の中では最も安定した成績でした。21年シーズンは、最新仕様のマシンで戦うことになりますね。

「ルール上、エンジンは20年と同じものになるようですが、車体や制御は細かく煮詰めていくことになると思うので、自分としてはポジティブに捉えているし、最新型に乗ることで今までとは違ったシーズンになると考えています。

 ファクトリーにはポル(・エスパルガロ)がKTMから移籍してきますが、ポルとは今年たくさんバトルをしたので、来年もいいライバル関係になると思います。ホンダ1年目だから成績が出ない、というようなレベルのライダーではないので、彼の加入は楽しみですね。新たにチームメイトになるアレックス(・マルケス)も、Moto3とMoto2でチャンピオンを獲ってきたライダーで、ルーキーイヤーの今年すでに表彰台を獲得しているので、チームメイトとしていいライバルになるでしょう。マルク(・マルケス)が3回目の手術をしたということですが、早く回復して、元気な姿でレースに戻ってきてほしいと思います」

ーー20年シーズンの技術的な潮流としては、全メーカーが競うようにホールショットデバイス(レーススタート時にサスペンションを機械的に固定し、動力を効率的に伝える装置)を採用したことが大きな注目を集めました。メーカーによって、フロントサスペンションあるいはリアを固定する方式など、さまざまなようです。ホンダの場合はリアを固定する方式と聞いていますが......。

「そうですね。リアを下げてスタートするんですけど、単純に言えば車体が何ミリか下がって重心が低くなるのでウィリーしにくく、パワーを路面に伝達しやすくなる、という強みですね。スタートしてクラッチをつないだ瞬間はそんなに変わらないんですが、全開にしていくときにウィリーの量が極端に減ってパワーを上げることができるので、加速がいいんです。だから、0〜100km/hというよりも、100km/hから150km/hに到達するまでのスピードが、デバイスがあるほうが速いですね」

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