マルケスの「技」を盗めたか。中上貴晶がMotoGP参戦3年目を振り返る (4ページ目)

  • 西村章●取材・文 text by Nishimura Akira
  • 竹内秀信●写真 photo by Takeuchi Hidenobu

ーー今シーズンで自己ベストのレースは?

「ポルティマオ(第15戦ポルトガルGP)は、いいレースだったと思います。起伏が激しくてブラインドコーナーが多く、レイアウト的にはすごく抜きづらいサーキットだったのですが、11番グリッドのスタートから相手のミスを見逃さずに順位を上げていき、苦しい中でも5位フィニッシュをして、最終戦をいい形で終えることができました。チームもすごく愉しかったと言ってくれたし、シーズンの締めくくりとしていいレースでした」

ーーでは、ワーストは?

「やっぱり、アラゴン2戦目(第12戦テルエルGP)ですね。(ポールポジションスタートにもかかわらず1周目で転倒して)何もできなかったというのは......、あれは果たしてレースといってもいいのかどうか(笑)。あのときは精神的に来ましたね。バレンシアの2戦目(第14戦バレンシアGP:3番手に浮上した直後に転倒したレース)も精神的にこたえましたけど」

ーー最終コーナーの転倒は、バンプ(路面の凹凸)に乗ったように見えました。

「あのときはとにかく前へ前へ、という気持ちでした。トップを走っていたモルビ(フランコ・モルビデッリの愛称:Petronas Yamaha SRT)も近かったし、ペースも自分のほうがモルビより速くてどんどん近づいていたので、『これは勝ちを目指すべきだ』と思い込んでいました。

 週末を通してすごく頑張ってくれたチームのためにも優勝を焦るのではなく、まずは一歩一歩着実に成果を積み上げて3位を狙えばよかった、とあとになってから反省もしたんですが、勝てるかもしれないという手応えがあったんですよ。あのときこそ抑える走りが必要だったのかもしれないけど、すべて結果論ですからね。

 僕はいつも勝利を目指して走っているし、それをあらためて確認できたレースでもあったので、自分を責めるつもりはありません。それでも、レースは結果がすべてだから、そこに関しては少し抑えるべきだった、という思いもあるし......。難しいですね」

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