スーパーGT、トヨタ独走に待った!ホンダが新パーツで好タイム連発 (2ページ目)

  • 吉田知弘●取材・文 text by Yoshita Tomohiro
  • photo by ©GTA


 実はこの公式テストから、ホンダは『フリックボックス』と呼ばれるフロント空力パーツの新バージョンを導入している。1日目の午前は比較データ収集のために従来版を装着していたが、午後には新型を装着。すると、それ以降はすべてのセッションでトップタイムを記録した。

 現在のGT500車両規定では、各メーカーは独自でパーツ開発できる箇所が厳しく制限されており、フリックボックスはそのうちのひとつ。ただ、今季仕様に関してはなかなか満足のいくものに仕上がらず、3月に行なわれた岡山でのテストでもいい感触が得られなかったという。

 その後、新型コロナウイルスの影響で開幕が延期となってしまったが、その間も手を止めずに解決策を探し続けた結果、今回のテストで新しいものを持ち込むことができた。

 テスト終了後、新しいNSX-GTの開発に携わった100号車の山本尚貴(RAYBRIG NSX-GT)は電話取材でこう語った。

「スーパーGTは(結果の)取りこぼしをどれだけ少なく済ませるかが、チャンピオンを獲得するうえで必要なこと。そういった観点で見ると、今年作ったクルマは少し"ピンポイント(個性の尖った)なキャラクター"になっていたんです。

(チャンピオンを獲得するためには)やっぱり各サーキットでのアベレージを上げたい。それをみんなでずっと議論してきたなか、開発陣があの新しいアイテム(フリックボックス)を作ってくれました。結果的に乗りやすくなりましたね。

 100号車は岡山テストで少し問題を抱えていて、うまく走らせることができませんでした。その原因がわからなくて困っていましたが、コロナの影響でインターバルができ、チームが問題点を徹底的に洗い出してくれて、富士テストでは調子がよかった。やっと戦える土俵に上がれたなと感じました」

 テスト2日目にトップタイムを記録した8号車の野尻智紀(ARTA NSX-GT)にも電話取材したところ、新しいパーツについてネガティブな印象はないという。

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