2020.07.16

震災直後の日本にエール。MotoGP王者のストーナーは誠実であり続けた

  • 西村章●取材・文 text by Nishimura Akira
  • 竹内秀信●撮影 photo by Takeuchi Hidenobu

MotoGP最速ライダーの軌跡(3)
ケーシー・ストーナー 下

世界中のファンを感動と興奮の渦に巻き込んできた二輪ロードレース界。この連載では、MotoGP歴代チャンピオンや印象深い21世紀の名ライダーの足跡を当時のエピソードを交えながら振り返っていく。 3人目は、ケーシー・ストーナー。類まれな才能で圧巻のレースを繰り広げたその歩みをたどる。

 2011年にドゥカティファクトリーからレプソル・ホンダ・チームへ移籍したケーシー・ストーナーは、開幕戦のカタールGPで優勝を飾った。2位に3秒440の差をつける圧勝だった。

東日本大震災後の日本へエールを送るケーシー・ストーナー カタールGPは、ナイトレースでの開催が毎年恒例になっている。上空を飛ぶヘリコプターがとらえる空撮映像は、砂漠に囲まれたロサイル・インターナショナル・サーキットの周囲に広がる漆黒の夜闇と、コースを昼間のように照らすまばゆい灯りのコントラストが、幻想的な雰囲気を際立たせる。

 決勝レース後、カクテルライトに照らし出される中、表彰式に登場したストーナーは、「ガンバレ日本」と大書された日の丸の旗を表彰台の上で大きく掲げた。

 このレースが行なわれたのは3月20日、東日本大震災の発生からわずか9日後のことだ。未曾有の大災害に襲われた日本では、「この先いったいどうなってしまうのか……」と、人々が不安と心細さで落ち着かない日々を過ごしていた時期だった。