「レプソル・ホンダから離脱?」
ロレンソとドゥカティの危険な火遊び

  • ニール・モリソン●取材・文 text by Neil Morrison
  • 竹内秀信●撮影 photo by Takeuchi Hidenobu

 スター性の基準とは何だろう? 獲得したトロフィーの総数、さまざまな王者のタイトルなどはわかりやすい基準だろう。インスタグラムやツイッターのフォロワー数、観客席でキャラクターTシャツを着ている人々の数も、何らかの指標になる。あるいは、自分自身がその場にいないレースでも名前が多くの人々の口の端にのぼることも、スター性の証と言えるかもしれない。

ロレンソは苦境に立たされた現状をどう思っているのだろうかロレンソは苦境に立たされた現状をどう思っているのだろうか 上記の基準に照らし合わせるなら、最初に挙げたふたつの項目について、ホルヘ・ロレンソ(レプソル・ホンダ・チーム)は、バレンティーノ・ロッシ(モンスターエナジー・ヤマハMotoGP)とマルク・マルケス(レプソル・ホンダ・チーム)に及ばない。

 というよりも、この両選手は、誰かの才能を語る際に必ず引き合いに出されるバロメーターのような存在だ。一方、ロレンソの場合は、皆があれこれ勝手に想像をたくましくして混乱したり右往左往したりするほどの、優れた資質と高評価を得ている選手、と言えるだろう。

 第11戦・オーストリアGPは、そんなロレンソのスター性を実証する週末になった。レッドブル・リンクのどこにいても、誰かが何かしらロレンソについて話していたのだ。

 ロレンソ自身はスイスの自宅で負傷療養中だが、レースウィークを通じて、「彼がレプソル・ホンダ・チームから離脱するのではないか」という話題で持ちきりだった。2002年にグランプリデビューを果たして以来、今年はロレンソにとって最悪のシーズンだが、32歳の現在も、彼はやはりスポットライトの中心にいる人物なのだ。

「ロレンソがドゥカティに戻るのではないか」というセンセーショナルなニュースがおもむろに沸き起こったのは、レースウィークに先だつ水曜日。彼がMotoGPクラスで挙げた最後の優勝から、ちょうど1年後だ。ロレンソは2020年にこのドゥカティサテライトチームへ移るのではないか、という憶測について、翌木曜にジャック・ミラー(プラマック・レーシング/ドゥカティ)が「多少の真実もある」と話した。

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