今季F1の序列は? 優位のフェラーリに次ぐホンダ、焦るメルセデス (4ページ目)

  • 米家峰起●取材・文 text by Yoneya Mineoki
  • 桜井淳雄●撮影 photo by Sakurai Atsuo(BOOZY.CO)

 また、トロロッソ・ホンダも昨年型レッドブルRB14をベースに開発されたSTR15で好走を見せ、期待が集まっている。テストでは若いドライバーふたりがタイヤマネジメントを気にせず周回を重ねてデグラデーション(性能低下)を引き起こしていたが、実戦の中ですぐに改善していくだろう。

 純粋な速さで言えば、トロロッソはハースやアルファロメオに次ぐポジション。すぐに表彰台が獲得できる場所ではなさそうだが、それでも若いふたりが入賞圏を争うことはできそうだ。

 そして、今年のテストで見えたもうひとつの特徴は、各チームの信頼性が極めて高いことだ。

 今年はトラブルを抱えたり、コース上にストップするマシンが例年に比べて圧倒的に少なく、どのチームも連日100周を超える距離を走り込んでいった。距離を稼ぐためにドライバーの負担を減らそうと、午前・午後で担当を分けるメルセデスAMGの手法をマネたチームが増えたのも、そのためだ。おかげで年間110セットのうち85セットを持ち込んだにもかかわらず、「タイヤが足りない」という不満の声さえ上がったほどだった。

 今年は新規定が導入されたとはいえ、それは空力面に関してのことで、マシンの基礎的な部分は2017年から変わらないまま3年目を迎える。パワーユニットについてはすでに6年目を迎えるとあって、各チームの信頼性が極めて高くなってきており、トラブルによるリタイアなどの発生は少なくなりそうだ。それは、このバルセロナ合同テストの段階から予見できる。

 そこに、新空力規定によるオーバーテイク増加促進策や、ファステストラップポイントの導入(※)など、新たな要素も加わる。

※ファステストラップポイント=今シーズンよりファステストラップを記録したドライバーに1ポイントが加算される。ポイントの対象となるのは、トップ10でフィニッシュしたドライバーのみ。

 フェラーリを筆頭とした3強チームによるトップ争いがどうなるのか。そこに中団グループの誰がどのように絡んでくるのか――。開幕直前テストの走りを見るかぎり、2019年のF1はこれまで以上に質の高い戦いが繰り広げられそうだ。

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