怪物vs怪物の超絶バトル。
0.023秒差でドヴィツィオーゾが開幕制す

  • 西村章●取材・文 text by Nishimura Akira
  • 竹内秀信●撮影 photo by Takeuchi Hidenobu

 最終ラップ最終コーナーの攻防は、去年とまったく同じ展開になった。

 開幕戦カタールGPは、毎年恒例のナイトレースとして行なわれる。ドーハ郊外の砂漠に位置する全長5380メートルのロサイル・インターナショナル・サーキットは、コースを取り囲む照明に照らし出されてそこだけがまるで真昼のような明るさになるという幻想的な雰囲気のなかで、MotoGPマシンの激烈な戦いが繰り広げられる。

またも接近戦でファンを沸かせたドヴィツィオーゾ(中央)とマルケス(右)またも接近戦でファンを沸かせたドヴィツィオーゾ(中央)とマルケス(右) 昨年のレースでは、アンドレア・ドヴィツィオーゾ(ミッション・ウィナウ・ドゥカティ)とマルク・マルケス(レプソル・ホンダ・チーム)が終始、接近戦を展開した。

 最終ラップの最終コーナーでイチかバチかの勝負に出たマルケスは、ドヴィツィオーゾのインに無理矢理マシンをねじ込んで前に出た。だが、コンパクトに旋回できずワイドにはらんでしまい、一方できれいに立ち上がったドヴィツィオーゾが最終コーナー出口を制して、わずかに早くゴールラインを通過。両者のタイムギャップは、0.027秒という僅差だった。

 今年の決勝レースも、このふたりの戦いは去年とまったく同じ展開になった。

 ドヴィツィオーゾ−マルケスの順で最終コーナーへ差しかかり、マルケスがインへ無理矢理ねじ込んだものの、オーバーラン気味になったところへドヴィツィオーゾが一瞬先に立ち上がって、先にゴール。今年の両選手のタイム差は、0.023秒だった。

「レース終盤でマルクと戦う完璧な作戦だった。シフトミスをしてしまい、マルクが前に出たときに彼の状況がわかった。タイヤのグリップがこちらより悪いとわかったので、それが自信になった」と、ドヴィツィオーゾはこの日のレースを振り返った。

「最後は〈マルクスタイル〉で抜きにかかり、うまく仕掛けてきた。でも、自分は加速がいいので、彼の仕掛けにきっちり対応できた」

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