ルール改正等エアレースは波乱含み。室屋義秀が描く総合優勝への構想 (2ページ目)

  • 浅田真樹●取材・文 text by Asada Masaki
  • photo by Predrag Vuckovic/Red Bull Content Pool

 では、ここで今季のルール改正について、おさらいしておこう。

 まずは、チャンピオンシップポイントの変更である。

 昨季までは1位から順に、15、12、9、7、6、5、4、3、2、1と、10位までにポイントが与えられ、11位以下は0ポイントだった。しかし、今季は1位から順に、25、22、20、18、14、13、12、11、5、4、3、2、1と13位までにポイントが与えられ、14位のみが0ポイントとなる。

 これを見てわかるように、昨季までは4位以下は1ポイントずつの差しかなかったが、今季は4位と5位の間に4ポイント、同じく8位と9位の間に6ポイントの差がつけられている。つまり、ラウンド・オブ・14からラウンド・オブ・8へ、さらにファイナル4へと、ラウンドを勝ち上がることの重要度が増す仕組みになっている。

 昨季のポイントであれば、例えば、ファイナル4へ進出しても4位に終われば、ラウンド・オブ・8敗退のなかでトップの5位になるのと大差なかった。だが、今季は順位だけでなく、"ファイナル4へ進む"ことの価値がより高まるわけだ。

 とはいえ、「昨年のレース結果に今年のポイントを当てはめても、年間総合順位はそんなに変わらない」と室屋。それよりも室屋が「たぶん実際の影響はこっちのほうが大きいだろう」と重視するのは、予選結果によって与えられるポイント。予選1位から3位までにそれぞれ、3、2、1ポイントが与えられるようになることだ。

 ちなみに、2010年以前にも予選でのポイント付与があったが、当時は予選1位に1ポイントが与えられるのみだった。今回のルール改正では、最大3ポイント×8戦=24ポイント、つまり、1レースに優勝するのとほぼ同じポイントを予選だけで稼げるようになるのだから、以前にも増して予選の重要度は高くなる。

「今まで以上に予選が白熱するだろうし、おもしろくなると思う」

 室屋がそう話すように、ラウンド・オブ・14の対戦相手を決めるための手段でしかなかった予選(しかも、1位になったからといって、対戦相手に恵まれるとは限らなかった)が、チャンピオンシップ争いに直接影響するものへと変わるのだから、当然、パイロットたちの本気度にも変化が表れるだろう。

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