徹底検証。トロロッソ・ホンダはなぜ日本GP決勝で沈んだのか (2ページ目)

  • 米家峰起●取材・文 text by Yoneya Mineoki
  • 桜井淳雄●撮影 photo by Sakurai Atsuo(BOOZY.CO)

 トロロッソ・ホンダのレース戦略は、少しずつ綻(ほころ)びを見せ始めていた。

 ピエール・ガスリーは7番手にとどまって前のハースに着いていく好走を見せていたが、ハートレイが後退したことが戦略の幅を縮めていた。恐れていたのは、後ろを走るフォースインディアの2台の存在だ。

 セルジオ・ペレスが24周目、エステバン・オコンが26周目にピットインするが、トロロッソはガスリーを走らせ続けた。ペレスが先にピットインしてアンダーカットを仕掛けてきたが、もしすぐにこれに反応してピットインしペレスの前で戻ったとしても、今度はオコンがオーバーカットを仕掛けてガスリーは逆転されていたはずだ。2対1の戦いは圧倒的不利だった。

 チーフレースエンジニアのジョナサン・エドルスは語る。

「フォースインディアの1台がピットインした時点で、ピットインしてカバーしようかどうかという話はあった。でも、1台がアンダーカットを仕掛けたのち、もう1台がオーバーカットを仕掛けてくるのは明らかだったから、あそこでピットインしても1台には抜かれる可能性が高かった」

 ガスリーを引っ張らせたもうひとつの理由は、後方のトラフィックだ。

 早い段階でピットインすれば、遅いクルマの後ろでコースに戻ることになり、抜きにくい鈴鹿ではタイムロスを強いられる。それを恐れて、後方との間にピットストップ1回分のギャップができるまで粘っていたのだ。

「コース上でのオーバーテイクは難しいという大前提があったから、トラフィックのなかに戻るようなタイミングでピットストップはしたくなかったんだ。だから我々は、第1スティントをあれだけ引っ張ることにした。

 ヒュルケンベルグ(ルノー)のペースが落ちて、後続を抑え込んで我々との間にギャップを広げてくれれば(その前でコース復帰できる)と期待してステイアウトしたんだけど、彼はザウバー勢に抜かれてしまった。さらに、フォースインディア勢はトラフィックを抜いてきて、彼らにアンダーカットを許すことになってしまった」(エドルス)

2 / 6

厳選ピックアップ

キーワード

このページのトップに戻る