「流れ」を味方にして9位。でもトロロッソのパワー不足は未解決 (3ページ目)

  • 米家峰起●取材・文 text by Yoneya Mineoki
  • 桜井淳雄●撮影 photo by Sakurai Atsuo(BOOZY.CO)

「流れ」に乗って9位入賞を果たしたピエール・ガスリー「流れ」に乗って9位入賞を果たしたピエール・ガスリー ピットストップ直後にはブレンドン・ハートレイの後ろでコースに戻ったが、ハートレイが大幅に減速してまでガスリーをストレートで早々と先行させ、翌周ピットインしたエリクソンに対してはケメルストレートでDRS(※)を使って抜き、一度はターン1で抜かれたものの、ふたたびケメルストレートで抜き返すなど抑え込んで、ガスリーへの援護射撃をした。

※DRS=Drag Reduction Systemの略。追い抜きをしやすくなるドラッグ削減システム/ダウンフォース抑制システム。

「あの戦略自体は100%正しいものだと思うよ。最初にスワップしろと言われたときは、後ろのピエールとのギャップが大きかったから『どうしてだよ!?』って思ったけど(苦笑)。彼を行かせてからは、できるかぎりエリクソンをホールドアップすることに専念したよ。それがチームのためにベストなことだと理解していたからね。

 僕自身のレースは、スタート直後のターン1でウイリアムズやエリクソンに先行された時点で終わったようなもので、もうポイント獲得のチャンスはなかったから。あとは残る1台ができるだけポイントを獲得できるよう、貢献するのがベストだということは重々わかっていたよ」(ハートレイ)

 ハートレイの貢献もあって、ガスリーはエリクソンを引き離して9位でフィニッシュ。上位で2台がリタイアしたおかげの入賞とはいえ、パワーセンシティビティの高いスパ・フランコルシャンでハースやザウバーと同等の走りができたことは、極めて大きな意味があった。

 トロロッソ・ホンダにとって幸運だったのは、周りのチームがダウンフォースをつける方向にセットアップを振ってくれたことだろう。どのチームも周りの最高速を見ながらダウンフォース量を最終決定していく。その「流れ」がトロロッソ・ホンダに味方したのだ。

 ホンダの田辺テクニカルディレクターは言う。

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