小林可夢偉が3戦目で初優勝。元F1ドライバーは伊達じゃない! (2ページ目)

  • 吉田知弘●取材・文 text by Yoshita Tomohiro
  • 吉田成信●撮影 photo by Yoshida Shigenobu

 ただ、スーパーGTは経験不足と言いつつも、小林は「ぶっつけ本番」での勝負強さを見せた。

 決勝レース前半にトップへと浮上した39号車は、36周目にピットイン。コバライネンから小林へと交代する。だが、ライバルのペースも上がってきており、WAKO'S 4CR LC500(ナンバー6)の大嶋和也、さらにはau TOM'S LC500(ナンバー36)の関口雄飛がトップの小林に迫ってきた。

 小林にとって、39号車で決勝レースを走るのは実質2レース目。しかも、後続のライバルのほうがペースはよく、トップの座を明け渡すのは時間の問題かと思われた。

 しかし、小林はこの土壇場で勝負強さを発揮する。慣れないGT300との混走をうまく利用し、首位をがっちりとキープ。リスクを背負わない走りを徹底することを心がけ、トップの座を譲らなかった。

「向こう(大嶋や関口)のほうがペース的に速かったので、何とかして守ろうという思いはあった。僕たちのクルマはすごく調子がいいわけではなかったので、どうやって(後続を)抑えるかということだけを考えていた」

 そしてもうひとつ、ライバルとのバトルを切り抜けられた要因を挙げるならば、レースの状況を巧みに読んだ小林の冷静さだろう。

「コーナーでは彼らのほうが速いのはわかっていたんですけど、幸いなことに、ターン1では僕のほうが速かった。だから、(一番の追い抜きポイントになる)ターン3で彼らを抑えることができた」

 ヘアピン状のコーナーになっているターン3は、レース中に何度も追い抜きシーンが生まれていた。このコーナーで前のマシンに並びかけるには、直前のターン1での通過スピードがカギとなる。小林の分析によると、このコーナーで後続を少し引き離すことができたことで、相手にチャンスを与えずに済んだという。

 一方、チームメイトのコバライネンは、チームの総合力が上がったことを勝因のひとつに挙げた。

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