佐藤琢磨は追突され後退も、インディカー開幕戦はホンダ勢が上位独占 (4ページ目)

  • 天野雅彦●文 text by Masahiko Jack Amano 松本浩明●写真 photo by Hiroaki Matsumoto

「インを守りに入ったが、インを取られた。あれ以上プッシュしたらブロッキングになってしまうので、アウトサイドにラインを取り、インは相手に譲ってブレーキングをできる限り遅らせた。スペースは十分に与えた。

 彼(ロッシ)はブレーキを遅らせ過ぎたんだよ、ラインを外れた路面はタイヤかすですごく汚れている状況だったのに。コーナーの奥深く突っ込み過ぎてリヤホイールをロックさせて滑り、僕のマシンにぶつかってきた。これ以外の説明は無理だと思う。あっちは走り続けて表彰台、こっちは壁にぶつかってレース終了ってところは納得がいかない」

 優勝したのはセバスチャン・ブルデー(デイル・コイン・レーシング・ウィズ・バッサー・サリバン)。去年のインディ500予選で大ケガをした彼は、「新シーズンの開幕戦で3位なら大満足」と、最後のリスタートでは前の2台との間にスペースを取るよう心がけたほどだったという。結果的にそれが幸いし、ブルデーは危なげなく前2台のアクシデントシーンをすり抜け、イエローフラッグとチェッカーフラッグが同時に振られるゴールラインを横切った。

 昨年の開幕戦、ブルデーは予選最初のステージでクラッシュしたために最後尾スタートだったが、巧妙な作戦で見事に優勝を果たしている。今年はオープニングラップにタイヤがパンクしており、2年連続で最後尾からの勝利を飾ったことになる。

「勝てたとわかったときには、こみ上げてくるものがあった。インディでの事故では骨が何本も折れたし、リハビリは大変だった。しかし、実際には僕自身より、家族など周りの人たちのほうが苦労は多かったと思う。昨年のうちにレースに復帰し、ケガの翌年にすぐまた優勝ができて本当に嬉しい。今回はかなりいろいろなことがあったうえでの勝利ではあるけれど、勝ちは勝ちだ」(ブルデー)

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