琢磨が速い! インディ500以降もトップバトルで年間3位をキープ (3ページ目)

  • 天野雅彦●文 text by Masahiko Jack Amano 松本浩明●写真 photo by Hiroaki Matsumoto

 2台を犠牲にしたヒンチクリフは、何事もなかったかのようにコースに戻った(後にペナルティを課せられる)。一方、カストロネベスはエンジン・ストールするも、ギリギリでリードラップにとどまった。ただ1人、壊されたフロント・ウィングの交換作業が必要となった琢磨だけが周回遅れとなってしまう。

 これで琢磨の上位入賞のチャンスは消滅したかに見えた。97周目に出たイエローコーションの間にリードラップには復活したが、後方集団は激しい乱気流の中での走行となるため、なかなか順位を上げていくのは難しいからだ。だが、248周のレースが150周を過ぎたとき、中段グループで多重クラッシュが発生。琢磨はこれをうまく潜り抜け、一気に7番手までポジションを戻すことに成功した。

 この頃になると太陽は完全に沈み、気温も路面温度も下がっていた。琢磨たちのマシンセッティングは、レース終盤のコンディションに合わせることを目指しており、その狙い通りに力を発揮できる環境が整ってきた。

 残り約80周で琢磨は5番手に浮上。もうトップは完全に射程圏内に入っていた。ここからは壮絶な接近戦が繰り広げられ、琢磨は誰も成功させていなかったアウトサイド・パスをターン1からターン2でやってのける。先行する2台を外側から豪快にパスした彼の走りに、大歓声が上がり、インディ500ウィナーがテキサスも制す! そう思われた。

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