ファンの熱狂も後押し。まさかの連続で室屋義秀がエアレース千葉を連覇。 (2ページ目)

  • 浅田真樹●文 text by Asada Masaki
  • photo by red bull

 予選前日には出場パイロットのサイン会が開かれ、平日の夕方にもかかわらず、およそ1000人のファンが来場。とりわけ室屋の人気はすさまじく、長い時で300人ほどがサイン待ちの列を作った。優に1時間半、室屋は手を止めることなくサインをし続けた。

「やっぱり、こうやって(実際にファンと)触れてみないと、生の声や雰囲気というのは分からない。盛り上がりを実感する」

 室屋は笑顔でそう話す一方で、少し驚いたようにこうも語っていた。

「でも、今年はちょっと熱狂気味。今は(レースエアポートの外に)歩いて出られないから」

 室屋を擁するチーム・ファルケンをはじめ、レースに参戦する各チームの飛行機が格納されるハンガーエリアは千葉県浦安市内の海岸沿いに設置されており、滞在ホテルとの行き来は、車で駐車場までやってきて隣接された公園を歩いて抜けてハンガーへ向かうようになっていた。パイロットはもちろん、チームスタッフもレース運営スタッフも、ハンガーと駐車場との間を歩いて往復する。

 ところが室屋の場合、あまりに出待ちのファンが多く、公園内を歩いて抜けようとすると必ずファンに囲まれてしまう。もちろん、サインに応じるのはやぶさかではないが、誰かひとりにサインすれば、どんどん人が集まり、10人、20人では終わらなくなってしまう。

 そこで今年は特別に室屋だけはエアポート脇まで車を乗り入れ、ハンガーに出入りすることになった。

「そうじゃないと、出口がすごい人だかりになって、他の人たちも出られなくなってしまう。『ひとりだけズルいじゃないか』と、他のパイロットに文句を言われたけど(笑)」

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