突如わき出た「F1ホンダ救済」報道。本当は何が起きていたのか? (3ページ目)

  • 米家峰起●取材・文 text by Yoneya Mineoki

 あるパワーユニット関係者はこう説明する。つまり、概算で現在のメルセデスAMGとホンダの間には70~80馬力ほどの差があることになる。

 フェラーリのカスタマーパワーユニットを使うロマン・グロージャンは「いまやパワーユニットは性能差がほとんどない。差を生み出すようなコンポーネントではなくなったんだ」と語ったが、メルセデスAMGのカスタマーであるセルジオ・ペレスも同様の見方だ。そのなかでホンダだけが大きく後れを取っているからこそ、ドライバーたちがコクピットで強い不満を感じるのもある意味では仕方のないことだろう。

 問題は、ホンダが今季型パワーユニットの開発をスムーズに進められなかったことだ。新たな燃焼の方式を導入したICE(内燃機関エンジン)の熟成不足が主たる原因である。

「単気筒のベンチテストでは目標の性能を達成できました。『単気筒でこれだけ出れば、計算上はV6ではこれだけ出るはずだ』という数値があるわけですが、V6にしてみたらそれが出なかった。それが昨年末のことで、そこからはもう時間切れで、その未成熟なものをまず開幕に投入せざるを得ませんでした」(長谷川総責任者)

 単気筒で目標値を達成した時点で「(V6でも)想定どおりの目標値が達成できると思ったのは事実だ」と語ったのが、「開発を簡単に考えすぎていた」というニュアンスで報じられもしたが、つまり、今のRA617Hは開発途上のものでしかない。現状では昨年型より少し劣る出力しか出せていない理由はそこにある。

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