さらばヤマハ。有終の美を飾ったロレンソが忘れられない2つのレース

  • 西村章●取材・文 text by Nishimura Akira
  • 竹内秀信●撮影 photo by Takeuchi Hidenobu

 ヤマハファクトリーチームとして走る最後のレース第18戦・バレンシアGPで、ホルヘ・ロレンソ(モビスター・ヤマハ MotoGP)が優勝し、最高の形で9年間のヤマハ時代を締めくくった。

バレンシア・サーキットでのホルヘ・ロレンソ(左)は誰よりも速かったバレンシア・サーキットでのホルヘ・ロレンソ(左)は誰よりも速かった 土曜の予選では、自身が保持していたサーキットのファステストラップ記録を塗り替える速さでポールポジションを獲得。日曜午後2時にスタートした30周のレースでは、ホールショットを決めると、序盤で一気に後続を突き放す得意パターンの展開に持ち込んだ。優勝までの過程ではレース中のラップレコードを塗り替えて、ゴールした際にはバレンシア・サーキットの総レースタイム記録も短縮しているという、完璧な内容の勝ちっぷりだった。


「今日は序盤からうまく走れて、その結果、この9年間に自分を支えてくれたヤマハへの恩返しとして最高のプレゼントを贈ることができた。ポールポジション、ファステストラップ、勝利という三拍子揃ったレースをできて、とても誇りに思うし、本当にうれしい」

 ロレンソがヤマハのファクトリーチームに加入したのは2008年のこと。2006年と2007年に250ccクラスのタイトルを連覇し、鳴り物入りでの最高峰クラス昇格だった。250ccのチャンピオンを獲得する前からヤマハが目をつけていた逸材だけに、チーム合流後は当時無敵の全盛時代を極めていたバレンティーノ・ロッシとの摩擦が大きな話題にもなった。

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