佐藤琢磨が「メチャクチャ速い」状態でインディカー最終戦へ (2ページ目)

  • 天野雅彦●文 text by Masahiko Jack Amano 松本浩明●写真 photo by Hiroaki Matsumoto

 AJ・フォイト・レーシングはワトキンス・グレンでの事前テストを行なわなかったが、チームのエンジニアたちが用意したセッティングはハイレベルで、チームメイトのジャック・ホークスワースは初めてのコースだというのにホンダ勢で最上位の予選9位に食い込んだ。ところが、琢磨はグリップの高いレッドタイヤ用のセッティングが少々尖り過ぎていたようで、アタック1周目にコースアウトし、グリッドは最後尾22番手に。上位フィニッシュは難しい苦境に置かれた。

 ドライバーの挑戦意欲を刺激するコースに、本当に納得がいくまであと一歩のマシン・セッティング......というのが、琢磨の置かれた状況だったようだ。レースでもスタート直後の混乱をくぐり抜けて5つも順位を上げたのだが、早目にピットストップを行なうことで一気に上位に進出する作戦は成功せず、後方集団に埋もれたままとなった。レースではマシンではなく、展開が琢磨をもどかしくさせた。

 しかしレース終盤、大きなチャンスが転がり込んできた。60周の戦いの39周目に出されたフルコースコーションで上位陣が全員ピットイン。ここで琢磨はピットに向わずに15番手から2番手に一気に急上昇したのだ。レース再開からゴールまでに琢磨は必ずピットインしなければならないが、今ピットした面々も、フルコースコーションが出なければもう1回、給油が必要な周回数が残されていた。

2 / 5

厳選ピックアップ

キーワード

このページのトップに戻る