【F1】「伝説のメキシコ」で突きつけられたホンダの厳しい現実 (5ページ目)

  • 米家峰起●取材・文 text by Yoneya Mineoki  桜井淳雄●撮影 photo by Sakurai Atsuo(BOOZY.CO)

 最後まで走ったバトンも、苦しいレースを強いられていた。

「今日のレースをひと言で表わすとしたら、"Painful(苦しい)"の言葉がピッタリかもしれないね。とにかくペースが遅く、他のマシンは直線スピードがとにかく恐ろしく速かった。僕らとは20km/hは違ったんじゃないかな。DRS(※)を使われたら40〜45km/hは違ってくる。とにかく、その差は大きかったよ」

※DRS=Drag Reduction Systemの略。ドラッグ削減システム/ダウンフォース抑制システム。

 ターボの過給を上げてカバーできる範囲が極めて小さいことに加えて、車体の空気抵抗が大きいことも大いに影響していた。

 ただし、最高速が伸びないのはルノー製パワーユニットを積むレッドブルも同じこと。しかし彼らは、高速コーナーが続くセクター2がメルセデスAMGよりも速い。よって予選で4位・5位という位置につけることができたのだが、マクラーレンはストレートでも、高速コーナーでも遅かった。

 つまり、アウトドローモ・エルマノス・ロドリゲスでは、MP4-30の弱点ばかりが強調されてしまったのだ。

 今シーズンも残り2戦。現状のパッケージで戦う限り、大きな飛躍は望みようもないが、それでも来季に向けて開発の方向性を見極めるためには、この2戦をフル活用しなければならない。

 50年前、中村監督が「来た、見た、勝った」と打電した初優勝の地で、ホンダは改めて厳しい現実を突きつけられた。

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