マクラーレン・ホンダ、トラブル続きも「大化けの可能性」
12月11日、マクラーレン・ホンダは遅ればせながら2015年のドライバーラインナップを決定し、フェルナンド・アロンソとジェンソン・バトンのコンビで戦うことを発表した。現在のF1界においてチャンピオン経験者をふたり揃えるのはフェラーリとマクラーレンだけであり、最強ラインナップのひとつと言えるだろう。
2015年の体制を発表したマクラーレン・ホンダ。左からホンダF1総責任者の新井康久、ドライバーのジェンソン・バトン、ケビン・マグヌッセン、フェルナンド・アロンソ、CEOのロン・デニス「かつてF1で大きな成功を収めたマクラーレンとホンダの提携復活に際して、その一員にならないかというオファーを1年以上前にもらったんだ。深く交渉を進めると同時に英国と日本の施設も見学し、両者が長く成功を収めるための提携を実現させつつあることが分かった。だからこそ僕も100%の力をそこに捧げたいと思ったんだ」(アロンソ)
「僕も赤と白のマシンが勝ちまくっていたころをはっきりと覚えているし、マクラーレンとホンダは素晴らしい成功を収めると確信している。勝てるチームになるために全員が全力を尽くしているんだ」(バトン)
「マクラーレン・ホンダの復活」と大々的に喧伝してはみたものの、彼らが成功を収めたのは20年以上も前のことであり、伝説とノスタルジーだけで今のF1を戦っていくことなどできないということは、当のホンダがもっともよく分かっているはずだ。先日行なわれた中東・アブダビでの初テストで、その思いをさらに強くしたに違いない――。
2014シーズンの最終戦、アビダビGP決勝2日後の11月25日、同じサーキットでマクラーレン・ホンダのテスト走行が行なわれた。そこには、エラーやトラブルに対応するエンジニアたちの姿があった。
正午を回ってもマクラーレン・ホンダのガレージに人の出入りはほとんどなく、作業台に載せられたマシンの上で「DANGER」と書かれた黄色い回転灯だけが点滅していた。エネルギー回生システムが持つ高圧電流の危険性を示す警告灯だ。ホンダのエンジニアたちが、データの"アンマッチ"と格闘していたその間、メカニックたちは車両の整備をすることもできず、待つしかなかった。
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