マクラーレン・ホンダ、トラブル続きも「大化けの可能性」 (4ページ目)

  • 米家峰起●取材・文 text by Yoneya Mineoki photo by Getty Images

 2014シーズン開幕前にはルノーがパワーユニットに数々のトラブルを抱えたが、アブダビでのマクラーレン・ホンダはまだそこにもたどり着けていない。ERS(エネルギー回生装置)やバッテリーを運用し、制御システムを熟成させる段階ではなく、パワーユニットを始動させることに四苦八苦している段階だ。

「システムが起動していくプロセスが不安定で、エンジン始動までいけないという感じでした。電源が入らないから、回せないという状態です。パワーユニットがダメとかいう以前の、電気系統の問題ですね。何が原因なのか特定できなかったんですが、それが特定できてしまえば『なんだこんなことか!』という感じで、直すのは速いんですけど、そこを発見するまでがたいへんでした。そういう意味ではちょっと出鼻をくじかれた感はあります」(新井)

 ただし、このテスト結果だけを見て失望するのは時期尚早だろう。ホンダのパワーユニットの性能はまだまだ未知数であり、大きく化ける可能性も秘めている。ホンダのF1復帰に際しては、圧倒的性能を期待する声もあれば、低迷と迷走を懸念する声もある。問題は、彼らがこのテストから何を学び、さらにはこれまでの経験から何を学び、“未来”にどう生かすかということだ。そうすれば、“過去”の意味も変えられるはずだ。

「皆さんにはいろいろ言われるでしょうけど、すごく有意義なテストでした。いろんなことが起きて、それを直していけば不安要素はどんどん消していけますから、やってよかったです。どこが問題になるかということもだいたい特定できましたし、今回学んだものをきちんと整理して2月のヘレステストで走らせるクルマに反映させたいと思います」(新井)

 まさに今、英国ウォーキングのマクラーレン・テクノロジー・センターと栃木の本田技術研究所では、2015年2月1日に走り出すテスト本番に向けて全力で努力が続けられているはずだ。新生マクラーレン・ホンダには、彼らが抱えるさまざまな“過去”を塗り替えるような活躍と努力をぜひとも見せてもらいたい。

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