総責任者に聞く。F1復帰するホンダは順調なのか (3ページ目)

  • 米家峰起●取材・文 text by Yoneya Mineoki

 2015年の開幕まであと半年。しかし、開幕前のテストが始まるまでは4カ月しかない。初回のヘレス合同テストは2015年2月1日に予定されているのだ。新生「マクラーレン・ホンダ」の初走行は、そこになる。

 11月末の今季最終戦・アブダビGP直後のテストで、マクラーレンがホンダのパワーユニットを搭載して走らせることになるのではないかとの報道もあったが、その時点では本番用のパワーユニットは完成しておらず、2015年型マシンも完成していない。物理的に現実的ではなく、「テスト用パワーユニットを走らせても意味がない」と新井は言う。

 マクラーレンとの間では、すでに車体とパワーユニットの統合について連携を取りながら長きにわたって設計を進めてきている。

 大きく重くすれば、パワーユニットの性能を高めることは簡単だ。しかしそれではマシンとしての運動性能が犠牲になる。冷却に要する気流も膨大で、空力性能も犠牲になる。逆に、車体側の運動性能や空力性能を突き詰めようとすれば、パワーユニットの性能を犠牲にしなければならない。そのせめぎ合いだ。

 裏を返せば、車体に合わせてパワーユニットの設計を変えることも、パワーユニットに合わせて車体を変えることもできる。それが、独占契約のワークス体制で開発を進めることのメリットだ。

 メルセデスAMGのパワーユニットが特殊なコンポーネントレイアウトを採用しているのも、パワーユニット自体の性能追求ではなく、車体側からの要求に理由があると言われている。

「我々もパートナー(マクラーレン)と一緒に開発していますから、その要求によってはもちろんメルセデスAMG方式のレイアウトも考慮に入れています。2015年用のマシンは車体側も我々も、まだ図面上で遊んでいる(いろんなアイデアを試している)段階ですが、結局はガワ(空力性能)が勝負ですから。まずはそれを決めて、それで十分に冷えるかどうかを考えると、パワーユニットの(各コンポーネントの)レイアウトが問題になってくるんです。それもそろそろ決める時期に来ています」

3 / 4

厳選ピックアップ

キーワード

このページのトップに戻る