川井一仁が明かす「忘れられないセナとのケンカ」 (2ページ目)

  • 川喜田研●インタビュー・構成 interview by Kawakita Ken

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 そういえば、その頃、セナに女性を紹介したこともあったなぁ。その時、一緒に仕事をしていた同僚がイギリスのシルバーストンのテストにモデルを連れていったら、F1のこともセナの顔も知らないのに、コース上でセナの走りを見るとすぐに、「あの人すごい!カッコいい!」と彼女が言いだしたわけ。

 それで、手紙をセナに持って行ってくれということになった。彼女はモデルだったので、自分のプロフィール・カードを同封したらしいけど、そんなものが手紙の中に入っているとはこっちは知らなかったんだけどね。手渡して1時間もしないうちに、セナが、「あの子の電話番号知ってる?」と戻ってきた(笑)。その時のセナの顔ったら......。女性に関してはシャイな奴だったからね。セナも若かったんだよ。

 この後、ロータス・ホンダに乗った頃からセナに風格がでてきた。速いドライバーは例外なくそうなんだけど、ともかく「偉そうで生意気」だった(笑)。全身から「私、大物ドライバーですから!」というオーラがバッチバチ出ていた。

 それと、F1フォトグラファーの金子博さんが「セナって笑わないんだよなぁ」と言っていたんだけど、たしかに、セナが心から笑っている顔ってほとんど記憶にないんだ。もちろん、つくり笑いぐらいはするけれど、彼は自分を思い切り解放している姿を、ほとんど見せなかったと思う。

 セナがはしゃいでいる姿で、唯一思い出すのは、今はもうなくなっちゃった鈴鹿のログキャビン(※)で大騒ぎしていたときぐらいかな。
※鈴鹿サーキットホテルにあったカラオケ用ログハウス。以前は最終戦日本GPを終えたドライバーやチーム関係者がレース後の打ち上げパーティに利用したが、今は使われていない。

 ともかく、セナは自分のやっていることにすべてを注ぎ込む、集中し過ぎるほどのめり込んでしまう完璧主義者だった。もちろん、気難しい人だったから、インタビューをしていて、セナの機嫌が悪くなったり、怒ったりすることも多かったよ。セナとずっと仲が良かったブラジル人ジャーナリストが、突然「お前とは二度と口を聞かない」と言われることもあった。

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