【F1】予想外の展開。開幕戦でロータスが勝利できた理由 (3ページ目)

  • 米家峰起●取材・文 text by Yoneya Mineoki 桜井淳雄●撮影 photo by Sakurai Atsuo(BOOZY.CO)

 エリック・ブリエ代表は次のように説明する。

「我々がレース前に立てていた、まさにそのままの戦略だよ。我々は、自分たちの車がタイヤに優しいということが分かっていたんだ。確かに想定していたよりもデグラデーション(性能劣化)は大きかった。第2スティントで他チームが3回ストップで行くと分かったが、我々は2回目のピットストップ後に、これなら2回ストップで行けると確信した。トラフィック(渋滞)に捕まることなく自分たちのペースで走ってタイヤを労(いたわ)り、正しいタイミングでピットインした。それをやり遂げただけのことだ」

 難しいコンディションの中で、その変化に翻弄されることなく自分たちのレースを戦い抜いた。それがライコネンを勝利へと導くことになった。

 周囲はライコネンが一躍チャンピオン争いに名乗りを上げたと色めき立ったが、当の本人は冷静だ。

「良い気分だよ。でもまだ1戦目が終わっただけでしかない。この勝利で僕らの何かが変わるわけじゃない。だけどクルマが良さそうなのは事実だし、今後もうまくいくと良いね」

 半公道サーキットのメルボルンは他とはコース特性が大きく異なる特殊なサーキットであり、今週末のように天候不順に翻弄されればなおさら、マシン本来のパフォーマンスの発揮は難しい。つまり、各チームの純粋な速さの比較は難しいのだ。

 これで2013年の勢力図がすべて見えたとは思わない方がいい。まだ氷山の一角が見えたにすぎない。わずか1週間後に迎える灼熱のマレーシアGPで、今シーズンの展望がさらに見えてくるだろう。

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