【MotoGP】復活ロッシ、自分によく似た新鋭の登場を喜ぶ (2ページ目)

  • 西村章●取材・文 text by Nishimura Akira
  • photo by Nishimura Akira

ロッシは今季ヤマハに復帰。トップ争いに加われる手応えをつかみつつあるロッシは今季ヤマハに復帰。トップ争いに加われる手応えをつかみつつある これをロッシの立場から見れば、今季の彼はふたつの世代を相手に戦う、ということを意味する。第一回目のセパンテスト(2月5日から3日間)を終えた際に、ロッシは「生き返った心地がする。世界最強でレースキャリアの絶頂期にある選手たちと、さほど離れていないタイムを出せたわけだから」と心底ほっとした様子で話した。そして、さらにその下の世代になるマルケスについては、「過去の自分を彷彿させる」と、その資質の高さと精神力の強さを絶賛した。

「なにしろ頭のいい選手だし、周囲の人々や事物に対する取り組み方が素晴らしい。一緒に仕事をするスタッフへの態度も適切だ。マルケスは自分にとって脅威になるだけではなく、ロレンソとペドロサにも頭の痛い存在になるだろうね。だって、彼はほかの誰よりも成長してゆける伸びしろがあるんだから」

 と、手放しといっていいほどの褒めようだ。ロッシは現在までのレースキャリアでさまざまな選手たちとライバル関係を作ってきたが、<仮想敵>をここまで褒めちぎったことは過去に例がない。

 そのマルケスとロッシが、今回のテスト三日目午後に、はじめて<バトル>を繰り広げた。

 時間は2月28日正午過ぎ。ガレージからピットアウトしたロッシが周回を開始すると、すでにコース上にいたマルケスが、その背後で様子を窺(うかが)っていた。それに気づいたロッシは、マルケスを引っ張りながら走行を開始した。

「(相手が)ロレンソやペドロサの場合だとやりにくくて、自分が後ろについたりすると、彼らはすぐにペースを落として(手の内を見せないようにして)しまう。自分が後ろにつかれたときも、彼らには同じことをするけどね。でも、マルケスと走るのはもっと楽しいんだ」

 その後、ロッシがわずかにペースを落とし、今度はマルケスが前に出た。前後を入れ替えながら、両者は5ラップほど、共に走行した。

2 / 3

厳選ピックアップ

キーワード

このページのトップに戻る