【F1】上位を狙う可夢偉の戦略。「僕にも表彰台のチャンスはある」 (3ページ目)

  • 米家峰起●取材・文 text by Yoneya Mineoki
  • 桜井淳雄●撮影 photo by Sakurai Atsuo(BOOZY.CO)

「まぁ、これが結果です。チーム力の差というか、そういうものだと思います」(Rd.8 ヨーロッパGP決勝/リタイア)

 予選7位からのスタートでポジションアップを果たし、4位を走行。表彰台は確実と思われたレース展開だったが、ピットストップでまさかのタイムロス。
「また左フロントのタイヤがとれなかったんです。もう何回も同じことが起こってるんで、なんとかしなきゃいけませんね」
 タイヤを温めるための機構がホイール周辺を熱膨張させ、ナットが外れにくくなる問題の再発だった。上位チームは同じ問題を解決できても、ザウバーはなかなか解消しきれないでいた。


「あれでブレーキ踏んでなかったら空飛んでましたよ(苦笑)」(Rd.8 ヨーロッパGP決勝/リタイア)

 ピットストップのタイムロスで後退したものの、まだ入賞のチャンスはあった。しかし可夢偉はペースの遅いブルーノ・セナ(ウイリアムズ)を抜こうとしたところで突然の進路変更にあい、フロントウイングを壊してしまった。指で隙間の狭さを表しながら、「ホンマ、こんなんですよ。あれは人殺しに近かったですよ。『これはもうあかん』って思ってブレーキ踏んだんですけど、それでもフロントウイングを持っていかれてたから、あれでブレーキ踏んでなかったら空飛んでましたよ(苦笑)」とヒヤリとした場面を振り返ってくれた。ちなみに、このバレンシアでは2年前にマーク・ウェバー(レッドブル)が同じような追突で大きく宙を舞う事故が発生している。


「スペース空けるもクソも関係ないと思うんですけど」(Rd.8 ヨーロッパGP/決勝後)

 最後はフェリペ・マッサ(フェラーリ)との接触。スチュワード(競技会審査委員会)の尋問の末に次戦5グリッド降格ペナルティを科せられたが、「サイドバイサイドで入っていったんですけど、結果的に僕がペナルティを受けて。僕は前に出てたから良いかと思ってたんですけど、充分にスペースを空けてないって言われて」という可夢偉は不満顔。
「抜きに行ってるんやから、スペース空けるもクソも関係ないと思うんですけど。まぁ、よく分からない審議結果ですね」と、追い抜きには一家言持っている可夢偉らしく反論してみせた。

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