【競馬予想】ヴィクトリアマイル、本命視されるアスコリピチェーノが抱える懸念 (2ページ目)
「アスコリピチェーノはサウジアラビアでの一戦でかなり頑張りましたからね。ゴール前まで、相当な距離をウインマーベルと競り合って、勝ち時計も速かった。つまり、海外遠征の帰国初戦ということより、この"頑張った"ゆえの反動がないかどうか、そっちのほうが心配されます」
専門紙記者のこの指摘について、参考になりそうな例がひとつある。それは、2022年、2023年と2年連続でGI安田記念(東京・芝1600m)を制したソングラインのケースだ。
同馬は、連覇を遂げた安田記念の前の2戦において、2年とも同じローテーションで挑んでいる。サウジアラビアの1351ターフスプリント→ヴィクトリアマイルというローテである。まさしく今年のアスコリピチェーノと同じローテだ。
それぞれの結果を見てみると、2022年は1351ターフスプリント1着、ヴィクトリアマイル5着。2023年は1351ターフスプリント10着、ヴィクトリアマイル1着。前者を勝った年は後者で敗れ、前者で敗れた年は後者で勝利している。
馬自身の状態や相手関係などいろいろな要素が絡むため、一概には言えないものの、この相関関係は気になるところだ。なにしろ、アスコリピチェーノに当てはめれば、今回のヴィクトリアマイルは厳しい結果が予想されるからだ。
先述の専門紙記者によれば、アスコリピチェーノは今回、通常放牧先から2週間くらいで厩舎に戻されるところを、それよりも早く帰厩させられたという。それだけ、陣営がサウジアラビアでの一戦のあとの、アスコリピチェーノの体調の変化に気を遣っているということだ。
その点について、専門紙記者は「よく言えば、それだけ入念に調整している、とも取れますが、少しうがった見方をすれば、サウジアラビアで頑張りすぎた反動がそれほど大きかった、と取ることもできます」と、含みのある言い方をした。アスコリピチェーノへの不安は膨らむばかりだ。
そうは言っても、GI阪神ジュベナイルフィリーズ(阪神・芝1600m)で戴冠を遂げて、GI桜花賞(阪神・芝1600m)、GINHKマイルC(東京・芝1600m)ではともに2着と奮闘。国内では6戦4勝、2着2回と連対を外したことがないアスコリピチェーノ。この実績は、好メンバーが集った今回のヴィクトリアマイル出走メンバーにあっても、最上位と言える。
また、ある競馬関係者は「昨年の今頃は、完成度の高い馬ゆえ、伸びしろとなるとどうだろうか、と見ていました。でも、今も明らかに成長を続けています。そうした状況を踏まえると、ここもあっさり勝っても不思議ではありません」と、きっぱり言った。
アスコリピチェーノは今回の女王決定戦を制して、さらにもう1段、名牝への階段を上がることができるのか、注目である。
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