オークスは「1強」ステレンボッシュで本当にテッパン? 逆襲を目論む素質馬2頭が不気味

  • 新山藍朗●文 text by Niiyama Airo

 2歳女王決定戦のGI阪神ジュベナイルフィリーズ(12月10日/阪神・芝1600m)と、3歳牝馬クラシック第1弾のGI桜花賞(4月7日/阪神・芝1600m)で1、2着を分けあって、この世代の牝馬「2トップ」とされたアスコリピチェーノ(牝3歳)とステレンボッシュ(牝3歳)。

 その後、アスコリピチェーノがマイルGIのNHKマイルC(5月5日/東京・芝1600m)へ駒を進めたため、クラシック第2弾のGIオークス(5月19日/東京・芝2400m)は、ステレンボッシュの断然ムードとなっている。

 実際、オークスは出走馬のほとんどが未経験の2400m戦。ゆえに、「距離適性よりもポテンシャルがモノを言う」と言われている。そして今年は、出走予定メンバーのすべてが、その未知の距離に挑む。となれば、桜花賞で強い競馬で勝利したステレンボッシュの「1強」と見られるのは、当然のことかもしれない。

牝馬クラシック一冠目の桜花賞を制したステレンボッシュ。photo by Kyodo News牝馬クラシック一冠目の桜花賞を制したステレンボッシュ。photo by Kyodo Newsこの記事に関連する写真を見る だが、本当にそうか?

 振り返ってみれば、阪神JFでのステレンボッシュは、単勝8.7倍の5番人気。名手クリストフ・ルメール騎手を鞍上に配して、この程度の人気にとどまったことを思えば、伏兵の域を出ない存在だったことは明らかだ。

 おかげで、わずかクビ差の2着と奮闘しながら、続く桜花賞でも1番人気アスコリピチェーノの単勝3.5倍とはやや差がある単勝4.3倍の2番人気に甘んじた。再度、ジョアン・モレイラ騎手という名手が手綱を取ったにもかかわらず、だ。

 無論、人気はファンが決めるものゆえ、必ずしも実力を反映しているとは限らない。ただ、ステレンボッシュの「1強」と、2歳時から突出した人気だった昨年の「1強」リバティアイランドとは、その意味合いは大きく異なる。ステレンボッシュの「1強」は、かなり心許ないものがある。

 さらに言えば、それだけ"突っ込みどころ"がある、ということだ。

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