アメリカ競馬最高峰の一戦、ケンタッキーダービーでフォーエバーヤングの偉業達成なるか!? (2ページ目)
そこで、矢作調教師はオーナーである藤田晋氏ら関係者と協議。そのうえで、実質的に地方競馬の南関東でのステップレースを経由しないと出走が叶わない国内"新ダート三冠"ではなく、ケンタッキーダービーをターゲットとした、海外重賞のサウジダービー(2月24日/キングアブドゥルアジーズ・ダート1600m)、UAEダービー(3月30日/メイダン・ダート1900m)へと向かう海外転戦を選んだ。
無論、この選択にしても、ケンタッキーダービーの出走馬選定ポイントレースとなるUAEダービーで結果を出してポイントを加算できなければ、最大目標となるケンタッキーダービーへの出走は叶わない。当然のことながら、UAEダービーの結果によって、その夢を諦めることになっても、国内"新ダート三冠"への出走はほぼ無理な状況。まさしく背水の陣とも言える選択だった。
しかし、そうした厳しい条件も、フォーエバーヤングは難なくクリア。中東での2戦で見事に連勝を飾った。とりわけUAEダービーでは、これまでの後方追走策から一転、積極的に位置を取りにいく競馬での完勝劇を披露して見せた。矢作調教師が振り返る。
「あれはもちろん、ケンタッキーダービーを意識してのものでした。状態自体、サウジでは今ひとつだったのが、ドバイでは上がっていたので、自信を持って臨めた、というのはあります」
そうして、いよいよ迎える大一番のケンタッキーダービー。だが、本番を目前にした矢作調教師の表情からはいつもの強気が見えない。声のトーンを落として、こう語る。
「苦手なキックバックへの対策もしっかりしていますが、ケンタッキーダービーでも(UAEダービーで見せた)あの競馬ができるかというと、そう簡単なものじゃない。そのことは十分にわかっています。
あと、輸送の都合で(レース後に)10日ほど、ドバイでの滞在となってしまった。もう少し早くこちらに入って、疲れを取りながら状態を上げていきたかった、というのが正直なところ。
(ここまでの海外転戦においても)やはり長距離輸送があって、そのなかで結果も求められて......というのは、簡単ではなかった」
それでも、矢作調教師は笑顔を浮かべ、前向きな姿勢も見せた。
「(最近は)いろいろと便利になったおかげで、日本からでも(フォーエバーヤングの)調教のライブ映像が見ることができた。その様子を毎日確認しながら、現地と連絡を取り合って調整を進めることができました。ここから、当日までに状態をピークに持っていきたい」
となれば、フォーエバーヤングの快挙達成への期待も膨らむが、そこはアメリカ競馬最高峰の一戦である。万全を期したとしても、容易に勝てるものではない。
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