大混戦の皐月賞は前哨戦の傾向からスローペースを想定 注意すべきは機動力ある逃げ馬 (2ページ目)

  • 武藤大作●取材・構成 text by Mutoh Daisaku

 同馬に注目したのは、2走前の1勝クラス・つばき賞(2月17日/京都・芝1800m)の時でした。前半は押し出されるような形で前に出て、途中から他馬がスローを嫌って先頭に立ちました。

 メイショウタバルはそれをやり過ごして、中盤は2~3番手をキープ。そこから、4コーナー手前で再び先頭を奪い返して、後半4ハロン45秒4という速いペースを押しきり勝ちしました。なかなか味のある競馬で、機動力の高さを感じさせました。

 前走のGIII毎日杯(3月23日/阪神・芝1800m)では、最初から最後までハナを譲らず、逃げきる競馬でしたが、中身はとても濃かったと思います。僕がとりわけ驚いたのは、ラスト2ハロン目の1ハロンで"10秒9"という目を見張るラップを刻んだことです。

 重馬場でタフな馬場状態のなか、逃げた馬が残り2ハロンという時点でこれだけの速いラップを刻めるのは、それだけ余力があったということ。この馬のスピード持続力を証明しています。

皐月賞での一発が期待されるメイショウタバル。photo by Sankei Visual皐月賞での一発が期待されるメイショウタバル。photo by Sankei Visualこの記事に関連する写真を見る――大西さんは1997年の皐月賞をサニーブライアンで制しています。それも"逃げ→2番手→3角先頭"という出入りのある展開を押しきっての優勝でした。

大西 純粋な逃げ馬だと、一旦自分のリズムを狂わされると集中力をきらすことがあります。でも、サニーブライアンはそれまでに差す競馬も経験していたので、一介の逃げ馬ではありませんでした。

 そしてメイショウタバルも、2走前のレースから自在性の高さを見せており、サニーブライアンと同様のタイプに感じます。

 しかも、前走の毎日杯では逃げる競馬をしながら、"差す競馬"をして快勝。たとえるなら、昨年のGI菊花賞を勝ったドゥレッツァが見せた競馬に近いですね。

 今回鞍上を務める浜中俊騎手とは手が合っており、過去2戦2勝。この馬の長所を引き出す乗り方ができるジョッキーです。

 こういう機動力の高い馬がラクに主導権を奪って、逃げる競馬ができれば、かなりチャンスがあると考えています。ということで、この馬を皐月賞の「ヒモ穴」に指名したいと思います。

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